研究課題/領域番号 |
18K06410
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
徳永 幸彦 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (90237074)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ネットワークカメラ / OpenCV / minimal Boid / Dumbledore |
研究実績の概要 |
鹿島、久慈川、そして土浦のネットワークカメラについては、落雷などにより1、2回のシステムダウンはあったものの、概ね予定通り、自動撮影が行なわれた。これらにより収集された画像については、現在個体判別や種判別のアルゴリズムを構築中である。また比較検討のため、eGPUを用いたDeep Learningの計算環境も2セット用意した。 複数種のサギ類から形成される茨城県のコロニーにおいて、コロニー形成のイニシアティブをとる種が、2005年頃からゴイサギからアオサギに取って代られている(Mashiko and Toquenaga 2014)。近年市街地に隣接するコロニーにおいて、人間との軋轢からコロニーが壊され、新天地にコロニーが移る際に、ゴイサギ、アオサギ、そしてそれ以外のサギ類が別々にコロニーを作ってしまうイベントがおきている。そのメカニズムについて、Waterbird Society 43rd Meetingにて招待講演を行なった。 minimal Boidのアルゴリズムについては、ノイズがない状態のものをほぼ完成させた。また、このアルゴリズムを実装した小型ロボットを試作し、wifi強度のみで集合する段階まで開発した。これらの研究については、2019年11月のSWARM2019にて、アルゴリズムについては口頭発表を、小型ロボットについてはポスター発表を行った。 上記研究の過程において、新に訪花時のswarm形成からヒントを得て、飛行経路からマルハナバチの巣場所を推定するシステム(Dumbledore)を考案した。複数個の巣がある状態ならば、訪花個体の飛翔方向の情報のみを集めることで、少くともそれらのうちの1つの巣は発見できることを明らかにした。また、リアルタイムで巣の候補地を表示するWebアプリを構築した。これらについてもSWARM2019、およびミツバチサミットにてポスター発表を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
長期撮影を行なっている画像解析のアルゴリズム構築が、予定よりも遅れている。そのため、バックアップの意味も込めてeGPUによるDL環境も用意した。 minimal Boidについては、アルゴリズムはほぼ完成したが、ノイズなどへの頑強性などの検討がまだ出来ていない。ロボットについても、小型化に拘り過ぎたため、Wifi特性とのマッチンングのところがうまく行っていない。今後はもう少し大型のロボットを用いて、リアル世界での実証を検討する予定である。 Swarmの理論研究の途中で偶発的に生れたDumbledoreアルゴリズムは、予想以上に開発が進み、アプリ開発までこぎつけた。完成時が冬前だったため、マルハナバチがもう居なくなっており、実地の検討は翌年度にもちこされることになる。
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今後の研究の推進方策 |
ネットワークカメラ映像からの個体数推定や種判別のアルゴリズムを、できるだけ早く完成させる。また、minimal Boidアルゴリズムについては、ノイズ等の検討を行った上で、論文発表する。minimal Boidロボットは大型化を図る。そして、Dumbledoreアルゴリズムについては、実地での野外調査を行い、その有効性を明らかにし、論文発表を行なう。
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