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2020 年度 実績報告書

島に生息する淡水魚の分散能力の退化の検証

研究課題

研究課題/領域番号 18K06412
研究機関新潟大学

研究代表者

飯田 碧  新潟大学, 佐渡自然共生科学センター, 准教授 (30745328)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード島嶼 / 分散 / 淡水魚 / 通し回遊 / 河川 / 環境
研究実績の概要

島嶼の河川に生息する淡水魚の分散の実態・分散能力の退化の有無を明らかにすることを目的として研究を実施した。2020年度は,佐渡島の約20河川,隠岐諸島の13河川,また比較対象として本州の上越の7河川にて野外調査を実施した。対象種であるハゼ科,カジカ科を採集し,それぞれの島と地域における河川や周辺状況について環境要因の計測を行った。また,約100個体について,耳石を用いた微量元素分析を行い,河川で採集した卵塊から仔魚を得て,形態観察と飼育実験を行った。2020年度に予定していた海外と琉球列島での調査はcovid-19の影響により実施できなかった。
3ヵ年の研究により,島嶼の淡水魚はその多くが生活史の一時期に海を利用していることが明らかとなった。このことから,島嶼の陸生動植物と比較して,分散能力を維持していることが分かった。一方,個体レベルのマイクロハビタットや季節的な河川内移動の調査から,島嶼における淡水域の利用形態は,これまで知られている同種や近縁種の本州など大規模な河川でのものとは異なることが分かった。また,仔魚の形態や塩分耐性の実験からは,海よりも淡水よりの傾向がみられた。限られた空間である島嶼の淡水域においては,残留型によってその場所に留まるよりは,特異な環境に適応した生態や分布形態を獲得しつつ,分散の可能性を残すという方向性をもつ可能性が考えられた。
本研究は,これまで知見のなかった対馬暖流域の島嶼の淡水に生息する魚類について基本的な生態情報を得たことに加えて,そこから島嶼の淡水魚の分散について明らかにした。これらの成果は,島嶼の生物学,魚類の生態学に重要な知見となった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Migratory pattern and larval duration of an amphidromous goby (Rhinogobius nagoyae) at Sado Island, in northern Japan2021

    • 著者名/発表者名
      Iida Midori、Kido Kyoka、Shirai Kotaro
    • 雑誌名

      Marine and Freshwater Research

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1071/MF20094

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A record of Tetraroge nigra (Tetrarogidae) from Iriomote Island, southern Japan, with notes on its ecological aspects2020

    • 著者名/発表者名
      Sato Mao、Kobayashi Hirozumi、Iida Midori、Shirai Kotaro、Sasaki Kunio
    • 雑誌名

      Ichthyological Research

      巻: 68 ページ: 207~213

    • DOI

      10.1007/s10228-020-00763-5

    • 査読あり
  • [学会発表] ウキゴリ属魚類における河川定着過程2020

    • 著者名/発表者名
      満尾世志人・飯田 碧
    • 学会等名
      応用生態工学会
  • [学会発表] スラウェシ島におけるヒナハゼ属魚類 “Redigobius penango” の非回遊性と系統分類2020

    • 著者名/発表者名
      小林大純・袰岩 美月・D. F. MOKODONGAN・安田仁奈・白井厚太朗・飯田 碧・山平寿智
    • 学会等名
      2020年度日本魚類学会年会

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公開日: 2021-12-27  

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