今回の研究から、マルハナバチタマセンチュウには隠蔽種が存在すること、その隠蔽種には寄主特異性はないこと、マルハナバチ種間での感染の頻度は低く抑えられていること、外来系統のタマセンチュウは日本に侵入していないと思われることなどが示された。また、タマセンチュウが、宿主の移動分散を抑制していることを支持する結果を、初めて提示することができた。マルハナバチという、生態系のキーストーン種と呼べるほどに重要な送粉者の寄生虫であるにも関わらず、研究例が非常に少ないマルハナバチタマセンチュウの生態に、新たな知見を加えることができたと考えている。
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