研究課題
本研究では、Gibbonの鳴声は、時間的には温度勾配よる林冠面逆転層が形成される時間帯に多く見られること、また鳴声伝播は冷気が長時間蓄えることができる森林環境によってもたらされること、空間的には林冠面の高さや立地の地形などと密接な関係があることを明らかにした。さらに、林冠高を代理指標とし、潜在的適地を空間的に示すことができた。一方、林冠高測定には地上踏査や空中三角測量よりも、LiDARを用いた計測のほうが、コスパが高いことから本研究でも航空機(有人航空機LiDAR)を用いた。しかしながら、有人航空機搭載型のLiDARの運用には、膨大な費用がかかる。近年、ドローン装着型のLiDARが開発され、価格、労力を抑えながら物体の三次元計測が可能になったことから、ドローン装着型のLiDARを用いて本研究でも森林計測への応用を試みた。とはいえ、ドローン装着型LiDARは照射する光ビームのエネルギーが小さく、熱帯雨林のような閉鎖林で林床まで光ビームが到達するかどうか、問題とされていた。そこで本研究では、ドローン装着型LiDAR計測によって構築したDTMが航空機機搭載型のLiDARデータと、どの程度の整合性があるかについて検証をおこなった。その結果、両者の間には極めて高い有意な相関関係が見られることが分かった。林冠層による光ビームの遮断はあるものの、熱帯林内は暗いため、低木層が発達しないこと、また試験地は平坦な地形が多く、起伏が少ないことにより、DTM構築するに十分な光ビーム(点群)が得られたためと考えられる。以上のことから、ドローンLiDAR計測でも有人機LiDARと同程度の精度のDTMの取得可能であり、林冠表面高(DSM)とDTMから得られた林冠高データは、野生動物の生息環境の代理指標として、ラピッドアセスメントに資するものと考える。
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J. Advanced Geospatial Science and Technology
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