サンゴ礁などのリーフ環境に生息する魚類には、産卵移動をみせるものが少なくない。しかし、その実態が明らかにされた例は乏しい。そこで、ハコフグ科クロハコフグ、ニザダイ科ニザダイ、チョウチョウウオ科フウライチョウチョウウオの3魚種に注目した生態調査を実施した。このうちクロハコフグでは、日中に浅場に分布するホヤ類を主に採餌し、夕刻に産卵に適した比較的水深のある沖合へ移動することが明らかとなった。オスが沖合に産卵なわばりを構え、訪問メスとペア産卵する複婚社会を有していた。これらの成果は、魚類生態学における新知見として学会発表を実施し、学術論文の発表を進めている。
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