研究課題/領域番号 |
18K06431
|
研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
上田 恵介 立教大学, 名誉教授, 名誉教授 (00213348)
|
研究分担者 |
三上 修 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (10404055)
白木 彩子 東京農業大学, 生物産業学部, 准教授 (20434011)
松井 晋 東海大学, 生物学部, 講師 (20727292)
森本 元 公益財団法人山階鳥類研究所, 自然誌研究室, 研究員 (60468717)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | ヒバリ / 高山 / 火山 / ガレ場 / 生息地 / 繁殖集団 / 遺伝構造 / 寒冷地適応 |
研究実績の概要 |
2019年度は、これまで調査を行なっていない白山山系(2回)と乗鞍山系(2回)、また北海道有珠山火口原(1回)における高山帯ガレ場に生息するヒバリの調査を行なった。その結果、これらの山系におけるヒバリの生息についての多くの有益な情報が得られた。白山山系においては南側の大倉山斜面を踏査し、生息鳥類群集について多くの知見を得ることができたが、ヒバリの生息は認められなかった。乗鞍岳においては、山頂部の畳平での生息を確認し、さらには乗鞍岳でのライチョウ調査に関わる研究者から、おそらく本州高山域では最古標高地点で繁殖しているヒバリの生息情報を得た。この調査結果については、次年度にまとめる予定である。北海道有珠山の調査では、活火山である有珠山の火口原において、複数のヒバリの生息を確認できた。これは花山斜面だけでなく、火口原にもヒバリが生息するという、ヒバリの生息地選考に関する新しい情報である。また前年度に行なった北海道樽前山に生息するヒバリ調査の結果を論文にまとめる作業を東海大の分担研究者である松井晋氏と、卒業研究としてデータをとり、北大大学院に進学した院生とともに精力的に行った。論文は、英文でJapanese Journal of Ornithologyに投稿し、現在、minor revisionで改訂中である。また同様に前年度に行った放棄大山におけるヒバリの環境選好に関する論文を執筆中である。またまとまったヒバリ個体群が生息する富士山5合目で繁殖するヒバリ以外の鳥類の繁殖状況に関する論文も執筆中である。昨年度に続き、日本全国の各山系に生息するヒバリ個体群の核遺伝子の解析は進行中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本各地の山系におけるヒバリ個体群の生息状況については、現地調査に時間がかかるために一気に多くの地域についてはできないが、過去に知られていない生息地の発見など、良い成果も上がってきている。ただ、遺伝構造の解明に関して、遺伝子解析作業が少し遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度が3年目で最終年度であるので、これまでの成果の学会発表、論文発表を行いたい。具体的には9月に開催される日本鳥学会の定期大会で発表する、また現在、改訂中の論文を今年度中にJapanese Journal of Ornithologyに掲載する。またこの3年で明らかになった全国各地の高山ヒバリの新発見生息地についての論文、生息環境についての論文、ヒバリ生息地における鳥類群集の論文(これらは和文)を、今年度中に公表し、次年度以降の研究計画を練る。
|
次年度使用額が生じた理由 |
人件費と遺伝子解析に関わる物品費支出が少なかった為。また一部地域での調査が行えなかった為。未使用額は2019年度に実施できなかった地域への現地調査及び研究打ち合わせの会合旅費に充てる。
|