研究課題/領域番号 |
18K06432
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
中村 正久 早稲田大学, 理工学術院総合研究所(理工学研究所), その他(招聘研究員) (40130025)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ツチガエル / ミトコンドリア12S遺伝子 / 分子系統樹 / 日本列島の形成 / 国内移動経路 / 地形変化 / 環境変化 / 陸上小型歩行動物 |
研究実績の概要 |
今から約2500万年前、ユーラシア大陸の東端部が離れ日本列島の形成が始まった。両生類、爬虫類、哺乳類の陸上歩行動物は様々な地形の影響を受けながら日本列島を移動したと考えられる。日本列島の形成過程における陸上歩行動物の移動経路を解明することができれば、移動時の地形や環境を推測する上で貴重な情報が得られることになる。ところが現在までに、陸上歩行動物の移動経路に関する研究報告はない。本研究は、小型歩行動物のツチガエル(両生類)を用いミトコンドリア12S及び16S rRNA遺伝子の塩基配列を基に分子系統樹を作成して日本列島の形成過程におけるツチガエルの移動経路を解明することを目的としている。これまでに我々は、日本国内100箇所でツチガエルを採集し、ミトコンドリア12S rRNA遺伝子の塩基配列を基に分子系統樹を作成した。その結果、遺伝的背景が異なる5集団が存在することが分かった(Oike et al,.2017)。面白いことに、分子系統樹によってどの箇所のツチガエルが系統的に古く、また新しいのかを知ることができる。そこでこの方法を用いて日本列島形成過程におけるツチガエルの国内移動経路を解明するため、日本各地でツチガエルの採集を行い、捕獲したカエルのミトコンドリア12S rRNA遺伝子の塩基配列を基に分子系統樹を作成したところ、大まかな移動経路が明らかになった。しかし、より詳細な経路を知るには採集地点が不足していることが分かったので、採集地点数を増やして系統樹を作成することにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
日本列島の形成過程における小型陸上歩行動物の移動経路を解明するため、全国100箇所でツチガエルを採集し、ミトコンドリア12S遺伝子の塩基配列を基に分子系統樹を作成した。しかし100地点では移動経路を解明するには不十分であった。そこで更に100箇所程から採集することにした。2018年度は青森県から鹿児島県に至る各地で採集を行い、約50箇所でツチガエルを採集してミトコンドリア12S遺伝子の塩基配列を基に分子系統樹を作成した。
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今後の研究の推進方策 |
日本列島の形成過程における両生類(ツチガエル)の移動経路を解明するには、できるだけ多くの箇所でツチガエルを採集し、ミトコンドリア12S遺伝子の塩基配列を決定して分子系統樹を作成する必要がある。そこで、19年度と20年度は30-50箇所でツチガエルを採集してミトコンドリア12S rRNA遺伝子の塩基配列を決定し、分子系統樹を作成する予定である。
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