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2020 年度 実施状況報告書

日本列島の形成過程における両生類の移動経路の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K06432
研究機関早稲田大学

研究代表者

中村 正久  早稲田大学, 理工学術院総合研究所(理工学研究所), その他(招聘研究員) (40130025)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードツチガエル / ミトコンドリアDNA / 時系列分子系統樹 / 国内移動経路 / 日本列島の形成 / 九州の新集団 / シーボルト / 標準産地
研究実績の概要

日本列島は約2500万年前、ユーラシア大陸東端部から地殻変動によって離れた南北2つの陸地が元になって形成されたとされる。よって、日本に棲息する陸上歩行動物の祖先は全て大陸に由来することになる。地球では氷河期が繰り返し訪れ、その時には海面が200m以上も低下したため、ユーラシア大陸と日本列島が陸続きになり、大陸から日本への陸上歩行動物の往来は複数回あったとされる。日本に移動した歩行動物はその後、列島に起きた様々な地形変化(陸地や海底の隆起による山脈や河川の形成、海溝の陸地化など)の影響を受けながら日本国内を移動したと予想される。従って、陸上歩行小型動物(両生類)の移動経路を明らかにすれば日本列島形成過程における地形や環境の変化を推測することが出来ると思われる。しかし、マンモスや恐竜などの大型動物と異なり、両生類の化石は皆無に近く、それ故、陸上歩行小型動物の日本国内移動経路に関する 報告は見当たらない。本研究は日本各地で採集したツチガエル(両生類)のミトコントリア遺伝子(12S及ひ16S rRNA遺伝子)の塩基配列を決定し、それを基に時系列分子系統樹を作成することによって、日本列島の形成過程におけるツチガエルの移動経路を解明することにある。我々は、国内約200箇所で採集したツチガエルの時系列分子系統樹を作成して、日本国内におけるこのカエルの移動経路の概要を捉えることができた。更に、九州南東部にはツチガエルとは系統学的に異なる新種と考えられる集団(se-Kyushu)が存在することを見つけた(Oike et al. 2020)。この新集団はツチガエルより先に大陸から日本に移動したものの、地形変化によって隔離され、独自に進化した可能性を見つけた。更に、ツチガエルは系統的に異なる4集団の存在が分かっていたが、シーボルトが採集したツチガエルの標準産地は長崎であることも明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

日本はユーラシア大陸東端から離れた南北2つの陸地が元になって形成されたとされる。従って、日本に棲息する陸上歩行動物の祖先は全てユーラシア大陸に由来すると考えられる。しかし、日本列島の形成過程におけるそれらの動物の国内移動経路は不明である。動物の移動経路は、日本列島形成過程における地形変化に大きな影響を受けたに違いない。このことは、陸上歩行小型動物の移動経路と日本列島の形成過程における地形変化は密接に関連していることを示す。本研究は、日本列島形成過程における陸上歩行動物の移動経路の解明を目的とする。そのために、大陸から移動したと考えら れるツチガエル(両生類)を国内の約200箇所で採集し、このカエルのミトコンドリア遺伝子の塩基配列を決定してそれを基に時系列分子系統樹を作成した。時系列分子系統樹を作成することによってツチガエルの日本列島形成過程における国内移動経路の概要を明らかにすることができた。また、日本のツチガエルには遺伝的に異なる4集団(West, East, North, Central)が存在することが分かっているが、シーボルトが日本滞在中に採集して学名を附したツチガエルの標準産地は長崎であることも明らかにした(中村、印刷中)。

今後の研究の推進方策

研究目的は達成しと思われるので、得られたデータを精査してまとめ、本年度中に公表する予定である。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額は、研究目的は達成していると考えられるが、データを精査してより良い内容の研究成果を発表するため使用する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Sex reversal induced by steroid hormones in Glandirana rugosa frogs.2020

    • 著者名/発表者名
      Masahisa Nakamura, Akira Oike, and Etsuro Ito
    • 雑誌名

      JSM Sexual Medicine

      巻: 4 ページ: 1056-1058

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Taxonomic identity of four groups of Glandirana rugosa (Anura, Ranidae) in Japan revealed by the complete mitochondrial genome sequence analysis.2020

    • 著者名/発表者名
      Masatake Mochizuki, Yoriko Nakamura, and Masahisa Nakamura
    • 雑誌名

      Mitochondrial DNA part B: Resources

      巻: 5 ページ: 3721-3722

    • DOI

      10.1080/23802359.2020.1833772

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A phylogenetically distinct group of Glandirana rugosa found in Kyushu, Japan.2020

    • 著者名/発表者名
      Akira Oike, Masatake Mochizuki, Koji Tojo, Takanori Matsuo, Yoriko Nakamura, Shigeki Yasumasu, Etsuro Ito, Takayuki Arai, and Masahisa Nakamura
    • 雑誌名

      Zool Sci

      巻: 37 ページ: 193-202

    • DOI

      10.2108/zs190007

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A threshold dosage of estrogen for male-to-female sex-reversal in Glandirana rugosa frogs2020

    • 著者名/発表者名
      Akira Oike, Yoriko Nakamura, Etsuro Ito, and Masahisa Nakamura
    • 雑誌名

      J Exp Zool

      巻: 333A ページ: 652-659

    • DOI

      10.2108/zs190007

    • 査読あり

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公開日: 2021-12-27  

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