本研究では、ボリビア集団の高地適応に寄与する遺伝要因を探索した。同集団99名を対象に4座位のEGLN1ハプロタイプを推定し、その頻度とヘモグロビン(Hb)濃度との間に正の相関関係を見出した。また、TGCGモチーフを持つハプロタイプの頻度が、南米高地集団で急増したことが示唆された。次に、ボリビア高地集団25名の全ゲノム塩基配列とデータベースのその他民族集団342個体の全ゲノム配列データを用いて、正の自然選択の痕跡を探索した。その結果、7座位のゲノム領域を同定した。転写因子やヒストン修飾の作用をデータベースで推定した結果、TGFA遺伝子の転写調節がボリビア集団の高地適応に寄与する可能性を示した。
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