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2018 年度 実施状況報告書

ムコ多糖症ニホンザルモデルの作製、維持と治療に関する基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K06442
研究機関京都大学

研究代表者

大石 高生  京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (40346036)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードムコ多糖症 / ライソゾーム病 / モデル動物 / ニホンザル / 霊長類
研究実績の概要

京都大学霊長類研究所で飼育しているムコ多糖症の疑いがきわめて高い複数の個体に関して、伊藤孝司徳島大学教授(連携研究者)の協力を得て、α-イズロニダーゼ遺伝子産物の酵素活性を測定した。なお、当該個体は、同遺伝子の一塩基非同義置換のホモ接合型であることを確認している。正常個体の遺伝子産物の酵素活性と比較し、この変異が一次病因であることを確認した。
発症個体のうち、最も年齢が高い(9歳)Wk2389に関しては、対症療法を行いつつ、個別飼育し、観察、計測を行ってきた。歯肉の肥厚や心雑音の増悪に加え、下痢と褥瘡が悪化したため、2019年3月に人道的観点から安楽殺を行った。剖検時には、今後の解析に供する剖検試料を得ることができた。全身および性腺の発育不良、大脳皮質の進行性の縮小、頭骨の肥厚と変形、脊椎後弯、椎骨の進行性の変形、膝と肘の拘縮、四肢骨の変形、肋骨のオール様変形、鼓室への浸出液の貯留、咽喉頭部の腫脹による気道狭窄、甲状腺の石灰化、心肥大、肝腫脹、盲腸ポリプの多発などが確認できた。
Wk2389の耳介の皮膚小片から、線維芽細胞の一次培養に成功した(今村公紀京都大学助教(連携研究者)との連携)。
ムコ多糖症の症状の一つである難聴の発生と増悪を生存している若齢個体で確認するために、脳波記録解析システムを用いて聴覚性脳幹反応(ABR)の測定を行う。安定した記録を行う準備として、マカクザルにABRを生起するための聴覚刺激系の開発を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ムコ多糖症の疑いがきわめて高いWk2389などの複数の個体に関して、α-イズロニダーゼ遺伝子産物の酵素活性が正常個体の遺伝子産物の酵素活性の10%以下に低下しており、この変異が一次病因であることを確認した(伊藤孝司徳島大学教授(連携研究者)との連携)。Wk2389の耳介の皮膚小片から、線維芽細胞の一次培養に成功した(今村公紀京都大学助教(連携研究者)との連携)。Wk2389に関しては安楽殺を実施し、今後の解析に供する剖検試料を得ることができた。これまでのデータと比較し、大脳皮質の縮小、頭骨の肥厚と変形、椎骨の変形、脊椎の後弯、膝関節の固縮、脛骨の変形が加齢とともに進行したこと、鼓室への浸出液の貯留、咽喉頭部の腫脹、甲状腺の石灰化などが確認できた。ABR用の機器の導入には手間取ったが、刺激系の開発は順調に進んだ。

今後の研究の推進方策

ABRを用いた聴覚検査など、生存している個体に対する調査研究を進める。遺伝子解析対象個体を拡張し、家系解析と、モデル動物産生コロニー作出の基礎データとする。伊藤教授、北川教授との連携により、Wk2389の病変の部位ごとの差異についての解析を進める。伊藤教授の開発した組み換え控訴を用いた、酵素補充療法の適用を開始し、症状の進行抑制、安全性を確認する。これまでに得られたムコ多糖症ニホンザルの遺伝子型、表現型に関する論文を第一報としてまとめる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] Two genetic diseases found in the Primate Research Institute2018

    • 著者名/発表者名
      Takao Oishi
    • 学会等名
      NPRCT-CU SYMPOSIUM “Non-human Primates in Biomedical Research: Industry-Academia Partnerships in Solving Global Health Problems”
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2019-12-27  

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