睡眠中のヒトが環境の音を「聞く」しくみを,意識統合レベルとの対応関係から生理学的アプローチにより検討した。睡眠中にはさまざまな意識状態が混在しているが,現在では睡眠段階による大まかな分類による研究が中心となっている。しかし,睡眠中にほぼ一貫して報告される夢見体験という意識の統合状態と聴覚との対応関係は明らかではない。そこで,記録した脳波より得られる事象関連電位から外界音への脳の応答性を算出し,被験者自身の夢見報告との対応関係を示すことで,睡眠中に「聞こえた」という体験が生じるのに充たされるべき意識統合レベルと脳活動を明らかにした。
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