研究課題/領域番号 |
18K06466
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
真柳 平 岩手医科大学, 医歯薬総合研究所, 講師 (20432544)
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研究分担者 |
祖父江 憲治 岩手医科大学, その他, 学長 (20112047)
木村 眞吾 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (30214878)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | シナプス応答 / 局在変化 / リン酸化・脱リン酸化 |
研究実績の概要 |
シナプス後部に存在するPSD-Zip70タンパク質がグルタミン酸刺激依存的に局在を変化させることを見出し、その制御機構と生理的役割について解析を進めた。一連の部分欠失・点変異を導入したPSD-Zip70タンパク質発現ベクターを用いて刺激応答に必要な機能領域を特定した。さら新たなPSD-Zip70相互作用タンパク質を同定し、刺激依存的なPSD-Zip70のリン酸化状態の変化によって結合状態が変わることで局在を制御することを明らかにした。 これまでにPSD-Zip70KOマウスの海馬スライスを用いた電気生理学実験によりLTP, LTDを始めとしたシナプス可塑性への影響を解析し、刺激に対する応答性に異常が生じていることを見出した。興奮性刺激に対するPSD-Zip70の局在およびリン酸化状態の変化が相互作用タンパク質を介してシナプス応答性においてどのような役割を果たしているかについて解析した。低分子Gタンパク質Rap2はシナプス後部の応答性に重要な役割を果たしており、その活性調節を担うSPARおよびPDZ-GEF1/2は、PSD-Zip70との結合によって局在および活性の制御を受ける。新たに同定した結合タンパク質を含め、各種発現ベクターやノックダウンベクターを駆使してPSD-Zip70の局在・機能制御がRap2活性、グルタミン酸受容体表出量などに与える影響について主に生化学的手法によって解析を進めた。 今後、これまで明らかにしてきたPSD-Zip70が介在する刺激依存的なシナプス応答性変化について気生理学的手法によって検証を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
刺激依存劇なPSD-Zip70の局在変化および相互作用タンパク質を介したシナプス応答性制御の仕組みについて解析を進めた。PSD-Zip70はミリスチン酸修飾およびリン酸化状態によって結合タンパク質が変化することによって刺激依存的な局在制御を受けていることを明らかにした。さらにPSD-Zip70のリン酸化状態の制御を担うリン酸化酵素・脱リン酸化酵素についても特定を進めた。これまでは生化学的なアプローチが先行し、興奮性刺激によるPSD-Zip70の状態変化とそれに伴う相互作用タンパク質の機能制御の分子機構についての解明が進んだが、シナプス応答性を論じる上で必須である電気生理学的な検証は現段階では不十分であり、今後精力的に解析を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
今後はPSD-Zip70の状態によって制御される刺激依存的なシナプス応答性の変化に注目し生理的役割について検証を進めていく。各種の変異導入、あるいは活性型・不活性型の発現ベクター、ノックダウンベクターが活用可能なため、Rap2活性や表出した機能的なグルタミン酸受容体量の変化について生化学的方法による解析結果を得ている。一方で生理的役割に関する検証の軸となる電気生理学的解析が不十分なため、組織内の連携と実験分担内容を改善して残された課題について効率的に遂行していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
学術論文による成果公表が年度末に近かったため掲載料の支出に備えて残していた。次年度繰り越しとなった金額分についても実験予定に沿った使用用途は決まっており、計画的に使用していく。
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