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2018 年度 実施状況報告書

ゴルジストレス応答性Syx5と低分子化合物によるAbeta分泌調節と神経細胞保護

研究課題

研究課題/領域番号 18K06468
研究機関杏林大学

研究代表者

須賀 圭  杏林大学, 医学部, 講師 (30306675)

研究分担者 山本 幸子  杏林大学, 医学部, 講師 (70434719)
丑丸 真  杏林大学, 医学部, 教授 (40265765)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード神経変性疾患 / アルツハイマー病 / Aベータペプチド / ゴルジストレス / SNARE / Syx5 / 神経細胞保護 / 低分子化合物
研究実績の概要

本課題申請時に立てた目標どおりにゴルジストレス応答性Syx5の発現誘導機構、およびゴルジストレスがもたらすSyx5発現変化とAベータ量比変化の機序に関して主に実験を行い知見が得られて来てた。ヒト株化細胞よりSyx5遺伝子の転写開始領域上流約2kbを単離して塩基配列を決定したところ、データベースの結果と一致して、Syx5遺伝子の転写開始領域上流には、いわゆるゴルジストレス誘導性の転写因子が結合するGASE (Golgi Apparatus Stress Element) 配列が実際に存在した。これら配列を含むSyx5遺伝子の下流にルシフェラーゼを組み込んだレポーターベクターを構築し、細胞に導入してルミノメーターを用いたレポーターアッセイを行い、定常状態でプロモーター活性を有すること、加えてゴルジストレッサーMonensin, Nigericin負荷によりプロモーター活性が上昇することが確認できた。これらストレッサーはH+イオノフォアであり、他の酸性小器官(lysosome等)への作用が排除できないので、現在はGolgicideA (GCA)やExo2でストレス負荷を行っている。このうちGCAにおいては培養細胞および初代培養ニューロンにおいて顕著にSyx5の発現上昇を起こすことが分かった。このようにERストレスに伴う細胞死に対抗してSyx5はその発現量を増すだけでなく別の細胞内小器官のゴルジに端を発するストレスでも発現上昇すること、そして低分子化合物の探索によりERストレス下で上昇するAベータ42比率を下げる化合物の候補も見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

目標に向けた3年間の研究計画は大きく下記の4つに分けられる。
1)ゴルジストレス応答性Syx5のAベータ量比変化の機序の解明。2)ゴルジストレスがもたらすAベータ量比変化の機序の解明。3) Syx5と低分子化合物によるAベータ量比調節効果の検討。4)ゴルジストレスによる神経細胞死に対する保護効果の検討。
現在初年度では上記計画の1および2を主に遂行しているが、並行して3および4の計画に必要な予備実験と実験手法の確立も進めているためおおむね順調に進んでいると考える。

今後の研究の推進方策

現在行っているゴルジストレス応答性Syx5の発現誘導機構の解析を進め、ゴルジストレス誘発からSyx5転写誘導に関わる転写因子と上流カスケードを同定して応答機構を明らかにする。ゴルジストレスがもたらすAベータ量とベータAPPからのプロセシングを、生成した各種フラグメントを、パルスラベル、ショ糖密度勾配遠心 (SDG)-ウエスタンブロット(WB)で定量し、細胞内分布はSDG-WBや免疫組織化学などの系で調べる。セクレターゼの定量と安定性評価をIP-WB、パルスラベルを組み合わせて行う。細胞外AベータはELISA、細胞内Aベータはギ酸で可溶化してIP-WB やELISAで定量する。これによりゴルジストレスはベータAPPプロセシングに伴うAベータ40と42生成比をどこでどのように変化させるのかを明らかにする。それら結果を考察してからSyx5と低分子化合物によるAベータ量比調節効果の検討を行う。その目的のためにSyx5過剰発現、shRNAによる抑制、CRISPR/Cas9法を用いたノックアウト細胞、候補である低分子化合物を添加した細胞で、上記の系を用いて、ゴルジストレスによって起こるAベータ比の変化を軽減させることができるかを検討する。またゴルジストレスによる神経細胞死に対する保護効果の検討を次いで行う。上記細胞でのタイムラプスイメージングや生存率測定により、細胞死が出現する時間経過を比較して、Syx5発現量や低分子化合物に保護効果があるかを調べる。総括としてゴルジストレスから細胞死に至る過程のイメージングによる保護の時空間的の解析を行う。これによりゴルジストレスから神経細胞死に至る過程をモニターしながら同時にAベータ産生の動態をとらえ、ゴルジストレスがどのように細胞全体に波及し、いつどこでAベータが産生するかを可視化し、Syx5と低分子化合物の保護作用を総括できると考えている。

次年度使用額が生じた理由

課題申請時に国内学会参加のために申請していた旅費や外部委託解析費の支払いを他の研究費より支出したため、当初想定した金額より支出額が減った。その分については修理および調整が急遽必要となった計測機器などの交換部品の費用に充てる予定である。年度末である3月に発注した物品については新年度4月以降の納品のため次年度使用額として計上するため。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Cytoplasmic control of Rab family small GTPases through BAG62019

    • 著者名/発表者名
      Takahashi Toshiki、Minami Setsuya、Tsuchiya Yugo、Tajima Kazu、Sakai Natsumi、Suga Kei、Hisanaga Shin‐ichi、Ohbayashi Norihiko、Fukuda Mitsunori、Kawahara Hiroyuki
    • 雑誌名

      EMBO reports

      巻: 20 ページ: e46794~e46794

    • DOI

      10.15252/embr.201846794

    • 査読あり
  • [学会発表] ヘルペスウイルス感染細胞から神経細胞傷害活性をもつユビキチンやα-シヌクレイン凝集物が産生される2019

    • 著者名/発表者名
      小久保友絵、中曽一裕、須賀圭、杉本温子、渡辺匡史、藤室雅弘
    • 学会等名
      第139回日本薬学会年会
  • [学会発表] Effect of Chemical chaperone on ER-Golgi SNARE expression and Abeta peptide production in neuronal cells2018

    • 著者名/発表者名
      Suga K, Yamamoto S., Nishino M., Terao Y., Akagawa K., Ushimaru M
    • 学会等名
      第61回日本神経化学会大会
  • [学会発表] Effect of ER and Golgi stress inducers on apoptotic cells assessed by Caspase3 activation using Time lapse imaging analyses2018

    • 著者名/発表者名
      Nishino M., Suga K., Yamamoto S., Ushimaru M
    • 学会等名
      第41回日本分子生物学会年会

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公開日: 2019-12-27  

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