脳神経シナプスにおいて、神経活動に同期・非同期して起こるシナプス小胞の放出パターンは、神経細胞間情報伝達の性質を決める重要な因子である。しかし、そのパターンを決めるメカニズムは不明な点が多かった。本研究では、シナプス前終末からのシナプス小胞放出数の定量的・統計学的解析とシミュレーションから、同期・非同期性放出パターンを説明する統一的な数理モデルの構築に成功した。このモデルから、(1)シナプス小胞は放出までに再充填プール、充填部位、放出部位を経由すること、(2)放出・充填部位に存在する小胞が同期性放出を、再充填プールに存在する小胞が非同期性放出を担うことを明らかにした。
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