研究課題
終脳特異的Flii cKOマウスを用いて、行動解析バッテリーに供することによって、自発運動量・運動機能・社会行動・記憶学習機能の異常を検出することを試みた。昨年度までの解析によって、コントロールマウス[Flii(flox/+); Emx1(cre/+)]とFlii cKOマウス[Flii(flox/-); Emx1(cre/+)]との間で各種行動解析(オープンフィールド試験・ロータロッド試験・3チャンバーテスト・プレパルス抑制試験・Y字迷路試験・高架式十字迷路試験・恐怖条件付け記憶学習試験)に有意な差は認められなかった。しかしながら、さらに詳細な解析を行った結果、モリス水迷路によって記憶学習テストを行った結果、コントロールマウスは野生型C57BL/6マウスと比較して、成績が低下することを見出した。そこで、野生型・コントロール・Flii cKOマウスの脳切片を作製し、ニッスル染色によって海馬の形態を調べた。その結果、Flii cKOマウスのみならず、コントロールマウスにおいても野生型マウスと比較して海馬の大きさが縮小していることを見出した。このことから、Fliiは海馬のサイズ制御においてはハプロ不全が起こり、ヘテロ欠損によっても海馬の萎縮が起こることが考えられた。なお、Fliiのホモ欠損は海馬の萎縮のみならず、大脳皮質の萎縮も引き起こされた。mTORシグナルの活性化によって胎生期の神経前駆細胞のアポトーシスが亢進されたことから、Fliiの欠損によっても同様に発生過程において細胞死が増大している可能性が考えられた。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Cell Reports
巻: 37 ページ: 110107
10.1016/j.celrep.2021.110107
FEBS Letters
巻: 595 ページ: 1671-1680
10.1002/1873-3468.14098