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2020 年度 実施状況報告書

神経筋接合部における細胞外分泌因子の同定

研究課題

研究課題/領域番号 18K06483
研究機関名古屋大学

研究代表者

大河原 美静  名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (80589606)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード神経筋接合部 / 細胞外マトリックス / 細胞外分泌因子
研究実績の概要

神経筋接合部(NMJ)は運動神経と筋肉細胞を結ぶシナプスで、シナプスの信号伝達にはアセチルコリンとその受容体であるアセチルコリン受容体(AChR)を利用している。よって、シナプスの信号を効率よく伝達するために、筋肉側のシナプス領域(終板)でAChRが集積することが必要である。現在までにこのAChR集積に必要な細胞外分泌因子が20個弱知られているものの、未知の重要なたんぱく質はそれ以上あることが想像されている。昨年度までに、研究代表者は培養条件下で分化した筋肉細胞を用い、AChRが集積する領域に存在する細胞外のたんぱく質を特異的に特定する手法を確立し、AChRのサブユニットとMuSKやLRP4などのいくつかのタンパク質が共局在している事を明らかにした。今年度は、この方法を用いて、細胞外分泌因子中で筋肉から分泌されAChRが集積する領域に存在しAChR集積に必須の因子を多く同定することを目指している。 今年度の実施計画では、発生過程におけるマウス筋肉組織においてAChRのサブユニットと同時かつ同じ核で発現しているmRNAをデータセット化し、同定することで、AChRと共局在する可能性のあるたんぱく質の候補リストを作成した。現在は、この候補リストの中から、実際にAChRとたんぱく質レベルで共局在するたんぱく質をウェスタンブロッティングと免疫染色により同定することを行っている。また、筋肉細胞と神経細胞を共培養することで作製したin vitro NMJの作製も行い、一部の細胞外分泌因子の結果については、論文において報告を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

作製したデータセットでは、細胞外分泌因子のmRNA量が少ないことが理由で、発現量の詳細があいまいであった。そこで、現在は発生段階を追って、NMJ領域に必要な既知のmRNAを発現している核を同定し、その核での細胞外分泌因子の発現量を細かく検討している。再検討自体はスムーズに行えたため「やや遅れている」とした。

今後の研究の推進方策

昨年度行う予定だった、①データセットよりわかる既知の因子の局在を検討する、に引き続き、②Rspo2、FGF18などの分泌因子と共に関わる細胞外分泌因子を同定という計画を今年度中に実施する予定である。培養細胞を用いたウェスタンブロットや細胞免疫染色を取り急ぎ行うことでAChR集積に 関わる複数の因子の役割を明らかにしていきたい。

次年度使用額が生じた理由

昨年度コロナ禍の中で本来予定していた学会を不参加とし、その分を研究費として使用した。しかし、さらなる検討をウェスタンブロッティングと細胞免疫染色で行うための抗体が期日通りに間に合わず、計画を延長した。AChR集積に 関わる複数の因子の役割を明らかにするため、昨年度行う予定だったウェスタンブロットや細胞免疫染色を行う予定である。これらの実験の実施のための抗体の購入費に使用する

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Secreted Signaling Molecules at the Neuromuscular Junction in Physiology and Pathology2021

    • 著者名/発表者名
      Ohkawara Bisei、Ito Mikako、Ohno Kinji
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 22 ページ: 2455~2455

    • DOI

      10.3390/ijms22052455

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Congenital myasthenic syndrome?associated agrin variants affect clustering of acetylcholine receptors in a domain-specific manner2020

    • 著者名/発表者名
      Ohkawara Bisei、Shen XinMing、Selcen Duygu、Nazim Mohammad、Bril Vera、Tarnopolsky Mark A.、Brady Lauren、Fukami Sae、Amato Anthony A.、Yis Uluc、Ohno Kinji、Engel Andrew G.
    • 雑誌名

      JCI Insight

      巻: 5 ページ: e132023

    • DOI

      10.1172/jci.insight.132023

    • 査読あり
  • [雑誌論文] CTGF/CCN2 facilitates LRP4‐mediated formation of the embryonic neuromuscular junction2020

    • 著者名/発表者名
      Ohkawara Bisei、Kobayakawa Akinori、Kanbara Shunsuke、Hattori Takako、Kubota Satoshi、Ito Mikako、Masuda Akio、Takigawa Masaharu、Lyons Karen M、Ishiguro Naoki、Ohno Kinji
    • 雑誌名

      EMBO reports

      巻: 21 ページ: e48462

    • DOI

      10.15252/embr.201948462

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Zonisamide ameliorates progression of cervical spondylotic myelopathy in a rat model2020

    • 著者名/発表者名
      Kanbara Shunsuke、Ohkawara Bisei、Nakashima Hiroaki、Ohta Kyotaro、Koshimizu Hiroyuki、Inoue Taro、Tomita Hiroyuki、Ito Mikako、Masuda Akio、Ishiguro Naoki、Imagama Shiro、Ohno Kinji
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 10 ページ: 13138

    • DOI

      10.1038/s41598-020-70068-0

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Zonisamide ameliorates neuropathic pain partly by suppressing microglial activation in the spinal cord in a mouse model2020

    • 著者名/発表者名
      Koshimizu Hiroyuki、Ohkawara Bisei、Nakashima Hiroaki、Ota Kyotaro、Kanbara Shunsuke、Inoue Taro、Tomita Hiroyuki、Sayo Akira、Kiryu-Seo Sumiko、Konishi Hiroyuki、Ito Mikako、Masuda Akio、Ishiguro Naoki、Imagama Shiro、Kiyama Hiroshi、Ohno Kinji
    • 雑誌名

      Life Sciences

      巻: 263 ページ: 118577~118577

    • DOI

      10.1016/j.lfs.2020.118577

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Gene Expression Profile at the Motor Endplate of the Neuromuscular Junction of Fast-Twitch Muscle2020

    • 著者名/発表者名
      Huang Kun、Li Jin、Ito Mikako、Takeda Jun-Ichi、Ohkawara Bisei、Ogi Tomoo、Masuda Akio、Ohno Kinji
    • 雑誌名

      Frontiers in Molecular Neuroscience

      巻: 13 ページ: 154

    • DOI

      10.3389/fnmol.2020.00154

    • 査読あり
  • [学会発表] 神経筋接合部形成における細胞外分泌因子の役割2020

    • 著者名/発表者名
      大河原美静
    • 学会等名
      第6回日本筋学会学術集会
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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