なぜ神経変性疾患は多くが遅発性なのであろうか。本研究では老化の実験モデルとして、哺乳動物と比べて寿命が短いショウジョウバエを利用し、また神経組織の堅牢性を評価できる新しい神経変性モデルとして外傷性脳損傷(Traumatic brain injury, TBI)開発し、老化による堅牢性低下の分子機構を明らかにすることを目的とした。ショウジョウバエにTBI処置を行うと、若齢個体に比べて老化個体では自然免疫が異常に活性化されることが明らかになった。また、神経変性を抑制する効果を持つミノサイクリンは、老化個体には効果を示さないことが分かり、その原因としても自然免疫の過剰活性化が示唆された。
|