研究課題/領域番号 |
18K06487
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
重松 直樹 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (30469613)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | ギャップ結合 / パルブアルブミン / バレル / コネキシン36 / GABAニューロン / ミニバレル |
研究実績の概要 |
昨年度までの観察で明らかになった結果を確固たるものにするために、例数を増やすことを当該年度では目標とした。具体的には順行性トレーサーBDAを視床の後内側腹側核に微量注入することで、バレルへの投射軸索を標識したマウスの1次体性感覚野に局在するパルブアルブミン陽性GABA作動性ニューロン(以下PVニューロン)と標識軸索の3次元再構築の継続を行った。さらに共焦点レーザー顕微鏡下で観察したPVニューロンに付着したBDA標識軸索のブトンのシナプス結合の有無を電子顕微鏡で観察することも継続した。 さらに、蛍光標識によって可視化したPVニューロン、BDA標識軸索を共焦点レーザー顕微鏡を用いて画像取得を行い、その画像をもとに画像解析ソフトNuerolucidaを用いてニューロンと軸索の3次元再構築を行った。これまでの研究によりマウスの1次体性感覚野のPVニューロンは細胞体の位置や樹状突起の伸展から、4つのサブタイプに分類することが出来た。 Type1. 細胞体と樹状突起を1個のBarrel内に留めているもの。Type2. 細胞体と樹状突起がBarrel間のseptaにあるもの。Type3. Barrel、septaに関係なく樹状突起を伸ばし、細胞体がBarrel内にあるもの。Type4. Barrel、septaに関係なく樹状突起を伸展させていて、細胞体がBarrelの外にあるもの。 本年度までに行った再構築では、視床からの軸索の中、複数のPVニューロン上に付着するブトンを有する軸索は合計で13本再構築した。その結果、軸索にPVニューロンサブタイプに対する選択性が特にないことが判明した。 上記に加えて、マウスの1次体性感覚野のバレル領域の吻側に存在する小さなバレル様の構造領域(ミニバレル)についてPVニューロンの形態を交えた所見を学術論文で報告する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ミニバレル領域に関する所見の取りまとめと、他研究機関との共同研究に時間の大部分を使用したため、若干の遅れはあるものの、本年度で十分に挽回できる。 新型コロナウイルス感染症が研究にどの程度影響するか未知数であるが、可能な限りの操作を行う。
|
今後の研究の推進方策 |
電子顕微鏡観察については以下の操作を遂行する。 順行性トレーサーBDAを視床の後内側腹側核に微量注入してバレルへの投射軸索を標識し、グルタルアルデヒドを高濃度に含む固定液で灌流固定を行う。1次体性感覚野を含む脳の冠状断片スライスに対して、PVの蛍光免疫染色とBDAを蛍光染色を行う。共焦点レーザー顕微鏡下でPV ニューロンの細胞体/樹状突起上に付着する標識軸索ブトンを観察した後で、同一切片に対してDAB/DAB-Niによる染色を行う。電子顕微鏡観察可能な超薄切片を作成した後、共焦点レーザー顕微鏡で観察した箇所のシナプス結合の有無を確認する。例数を30例くらいに増やすことを目標とする。 3次元再構築については引き続き画像解析ソフトニューロルシダを用いた作業を継続する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
前年度に購入予定であった、Neurolucida-Desktopワークステーションについて、他の購入物品や、旅費などの予算の都合がついた場合、次年度の交付金と併せて購入を検討したい。 現在、主要な作業に使用しているPCがwindows7であるため、早急にwindows10に切り替えたい。
|