研究課題/領域番号 |
18K06488
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
実木 亨 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (10546675)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | AMPA受容体 / 機能回復 |
研究実績の概要 |
申請者はAMPA受容体のシナプス移行に注目し、脳損傷後の機能回復においていつどのようなタイミングでどの回路を用いるのか明らかにすることを目的とする。大脳皮質損傷後のどの時点で回復過程のAMPA受容体のシナプス移行の促進が惹起されたかは不明であるため、AMPA受容体のシナプス移行が促進される時期、さらにはどのような細胞において担われるかについて電気生理学的解析を用いて明らかにすることを目標としている。 前年度においてトレーニング開始から2週目にリハビリテーション依存的に大脳皮質の損傷周囲5層の興奮性神経細胞において回復率に相関した興奮性入力の増加が観察された。本年度においては損傷周囲5層の興奮性神経細胞への抑制性入力について検討したところ、回復率に相関した抑制性入力の変化は見られなかった。また、トレーニング開始から1週目における興奮性入力は回復率との相関関係は見られなかった。このような結果から、大脳皮質損傷後の機能回復におけるAMPA受容体のシナプス移行は早期のトレーニング開始から1週目ではなく、2週目において見られ、興奮性入力の変化が運動機能回復に寄与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大脳皮質損傷後の機能回復における興奮性シナプス入力の変化を早期のトレーニング開始から1週目とその後の2週目において捉えることができ、同様の時期における抑制性シナプス入力の変化についても計測することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに見出したAMPA受容体を介したシナプス応答の増加がどこからのシナプス入力か不明である。機能回復をする上で損傷周囲にどこからのシナプス入力が強化されているのかを明らかにする必要がある。障害された前肢機能がリハビリテーションにより回復した時点で使用される神経回路を同定するため、トレーニングにより回復した動物の損傷周囲の皮質第5層に逆行性トレーサーであるCholera toxin Bを導入し、機能代償をする皮質領域のどこから神経接続があるのか明らかになり「代償領域」を同定する。 さらにその回路の役割を明らかにするために外因性の人工受容体を使用する薬理遺伝学的手法であるDREADD(Designer Receptors Exclusively Activated by Designer Drugs )システムを用い、標的の神経細胞特異的に活動を操作する。本研究では、「代償領域」と神経接続のある脳部位にアデノ随伴ウィルスを用いてDREADDであるhM4Diを発現させ、その領域の機能の阻害を試みる。
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