• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

シナプス可塑的変化におけるタンパク質供給機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K06498
研究機関神戸薬科大学

研究代表者

中山 啓  神戸薬科大学, 薬学部, 助教 (40553590)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード局所翻訳 / 細胞内小器官 / 微小管
研究実績の概要

局所翻訳は、神経細胞に特徴的な翻訳制御機構であり、長期記憶の成立に必要な新規タンパク質合成において、重要な役割を担う。しかしながら、記憶形成の細胞基盤であるシナプスの可塑的変化において、新たに合成されたタンパク質が、刺激を受けたシナプス後部へと効率的に供給される機構については十分に理解されていない。本研究では、シナプス後部へ効率的に局所翻訳産物を供給するため、細胞内小器官が再編成されるのではないかと考えた。また、この細胞内小器官の再編成に微小管動態の制御が関与するのではないかと仮説を立てた。
昨年度までに、分泌経路に関与する細胞内小器官である小胞体-ゴルジ体中間区画や小胞体を可視化し、単一シナプスを刺激すると、これらの細胞内小器官が刺激を受けたシナプス後部近傍へと局在化するという観察結果を得た。これらの細胞内小器官の局在は、微小管によって制御される。そこで、本年度は、微小菅の動態が、シナプスの可塑的変化に関与するか調べた。まず、神経細胞をmCherryによって可視化し、シナプス後部を観察した。その結果、微小管の重合阻害剤Nocodazole処理を行なった神経細胞では、シナプス後部の拡張が誘導されることを見出した。一方、単一シナプス刺激によるシナプス後部の拡張は、微小管の脱重合阻害剤Taxolの処理によって抑制されることを見出した。これらの結果から、微小管動態の変化が、シナプスの可塑的変化に関与することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

微小管動態が、シナプスの可塑的変化に関与するという新たな知見を得ることができた。微小管動態と細胞内小器官の再編成の関連については今後の課題として残されている。なお、期間中に異動したため、計画の遂行に遅れが生じた。

今後の研究の推進方策

脳梗塞の回復期において、傷害された部位の機能を補完するよう神経ネットワークが再編成される。このネットワークの再編成においては、シナプスの可塑的変化が重要であると考えられるため、これまでに得られた研究結果を脳梗塞からの回復促進へつなげることが可能ではないかと考え、神戸薬科大学へ異動し、研究を進める。

次年度使用額が生じた理由

2020年9月に神戸薬科大学へ異動した。異動のため、研究遂行に遅延が生じたため、21年度へ569,066円を繰り越した。次年度繰越分のうち、450,000円を研究遂行に必要な試薬等の物品費、50,000円を成果発表に係る旅費、69,000円を論文発表に係る諸経費に使用する計画である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Seasonal changes in NRF2 antioxidant pathway regulates winter depression-like behavior2020

    • 著者名/発表者名
      Nakayama T, Okimura K, Shen J, Guh YJ, Tamai T. K, Shimada A, Minou S, Okushi Y, Shimmura T, Furukawa Y, Kadofusa N, Sato A, Nishimura T, Tanaka M, Nakayama K, Shiina N, Yamamoto N, Loudon AS, Nishiwaki-Ohkawa T, Shinomiya A, Nabeshima T, Nakane Y, Yoshimura T
    • 雑誌名

      Proceedings of the National Academy of Sciences

      巻: 117 ページ: 9594~9603

    • DOI

      10.1073/pnas.2000278117

    • 査読あり
  • [雑誌論文] C-C Chemokine Receptor 5 (CCR5) Expression in the Infarct Brain of the Photothrombosis Mouse Model2020

    • 著者名/発表者名
      Hasegawa Hiroshi、Kondo Mari、Hohjoh Hirofumi、Nakayama Kei、Segi-Nishida Eri
    • 雑誌名

      BPB Reports

      巻: 3 ページ: 208~215

    • DOI

      10.1248/bpbreports.3.6_208

    • 査読あり
  • [学会発表] 光血栓性脳梗塞モデルにおけるC-Cケモカイン受容体5(CCR5)の発現誘導2021

    • 著者名/発表者名
      長谷川 潤、北條 寛典、近藤 真理、中山 啓、中川 公恵、瀬木-西田 恵里
    • 学会等名
      日本薬学会

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi