研究課題/領域番号 |
18K06502
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
勝山 裕 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (10359862)
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研究分担者 |
金田 勇人 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (40528212)
椎野 顯彦 滋賀医科大学, 神経難病研究センター, 准教授 (50215935) [辞退]
平賀 真理子 大阪大学, 歯学研究科, 講師 (50638757)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 皮質ニューロン分化 / 神経線維発達 |
研究実績の概要 |
我々は大脳皮質の形成に関わる候補因子としてSbno1遺伝子を同定した(Baba et al., 2006)。Sbno1は脳の正常な発達や精神疾患に関連していることがヒトのゲノム解析から示唆されている。そこで我々はSbno1ノックアウトマウスを作成したところ、このマウスでは錐体路障害を示す運動の異常が見られ、形態的には大脳皮質の低形成と脳梁の形成不全が観察された。 本研究課題ではこの変異マウスのより詳細な解析を行った。まず、大脳皮質運動野を電気刺激したところ、変異マウスでは四肢の運動を惹起するために、正常なマウスに比べて大きな電圧を必要とした。次に組織切片の神経線維の染色を行ったところ、内包、錐体といった皮質脊髄路を構成する神経線維束の染色が低下もしくは消失していた。次に個々の大脳皮質ニューロンの形態をゴルジ染色法で可視化し、それぞれのニューロンをスケッチしたのちに軸索と樹状突起といった神経線維の発達をショル解析によって定量的に調べた。すると変異マウスでは大脳皮質ニューロンの樹状突起の形態が正常に比べて単純化していることがわかった。 生体内でSbno1遺伝子のニューロンの線維発達に働いていることが示唆されたので、次に我々は培養中のニューロンでCRIPR/Cas9システムを用いたSbno1欠損を誘導し、ここのニューロンの軸索の成長を培養下で観察した。Sbno1欠損ニューロンでは軸索の伸長がコントロール実験のニューロンに比べて遅いことがわかった。 最後にSbno1の分子的な機能について知見を得るためにLC/MS法によって分化初期のニューロンにおいてSbno1に結合している分子の同定を試みた。その結果、数多くのタンパク質が検出されたが、実際にSbno1に結合している可能性が上位の分子についてSbno1と同様に神経線維の発達に関わる因子であるかを実験的に調べる予定である。
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