研究課題
クロイツフェルト・ヤコブ病における異常プリオン蛋白の沈着と,他の神経変性疾患におけるアミロイド関連蛋白との病理学的関連に関しての検討を継続した.特に,日本に多い遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病V180I変異症例の病理解剖例を検討を行い.アミロイドβ沈着による老人斑,タウ沈着による神経原線維変化,age related tau astrogliopathy,の所見が見られることが多いことが明確になった.プリオン病理の程度とその関連は検討を継続中であるが,特にアルツハイマー病病理変化,あるいはprimary age related tauopathy病理の存在は比較的共通した所見であることも明確になった.こういった変化は臨床的な表現型にも影響を与える可能性は高い.こういった個々の症例にみられるアルツハイマー病病理変化などは,プリオン病のない通常のアルツハイマー病症例と,病変の拡がりや性状に明瞭な違いは見られなかったが,単純にagingだけの問題かどうか統計学的にも解析を追加している.V180Iは大脳における異常プリオン沈着量は少ないにもかかわらず,ほかのアミロイド蛋白の沈着がみられることから,プリオンの沈着量の多い孤発性プリオン病,遺伝性プリオン病との検討も要する.一方,神経系組織である網膜においても,V180Iで明瞭な異常プリオンタンパク沈着を認めたが,同部位にはアミロイドβ沈着,タウ沈着は見られなかった.ほかの孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病や遺伝性プリオン病でも,網膜には付随するアミロイド沈着はなかったことから,網膜においては,異常プリオン沈着とアミロイドβ沈着,タウ沈着との直接の関連は明らかではなかった.
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