研究課題/領域番号 |
18K06509
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
恒岡 洋右 東邦大学, 医学部, 講師 (50549011)
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研究分担者 |
船戸 弘正 東邦大学, 医学部, 教授 (90363118)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 内側視索前野 / Creマウス / DREADD / AAV / 性行動 / 攻撃行動 |
研究実績の概要 |
性的二型は性特異的もしくは性差のある行動の制御に関わっていると考えられており、脳の構造的性差が行動に与える影響は不明であった。内側視索前野は養育行動や性行動の中枢として知られ、攻撃行動への関与も指摘されているが、解剖学的知見に乏しく亜領域レベルでの機能は検討されてこなかった。我々はこの領域において新たに複数の性的二型細胞集団があることを発見した。本研究では、この性的二型細胞集団が行動の性差の責任領域の一つなのかについて検討するため、その解剖学的特徴づけを行うと共に、その機能を解明することを目的とした。 内側視索前野は性差のある行動を制御する領域であることから、多くの構造的性差があると予想されていた。申請者が新たに見出した複数の性的二型核、もしくは二型集団の分子マーカーを利用し、組織学的解析による細胞群の形態学的特徴づけと、投射解析と神経活性操作を行い、その機能解明に取り組んでいる。 初年度で入手した様々なCreドライバーマウスの有用性を確認でき、細胞ごとの投射先の違いについても把握した。二年目にはAAVによるDREADDシステムの発現を行い、機能解明に着手した。その結果、調べた2群の細胞集団で性行動を促進する細胞と性行動を抑制する細胞集団がいることが明らかとなった。また、性行動を促進する細胞は状況依存的に攻撃行動をも制御していることが明らかになり、より詳細な機能解明を最終年度に行う予定である。 また、研究の過程において偶然新たな遺伝子発現解析技術を見出した。この技術は本研究課題においても重要な技術となるため、この技術の開発についても並行して取り組んでいく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画で予定していた実験は滞りなく遂行できており、それぞれのマウスの表現型もほぼ予想に合致している。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の蔓延により、当大学ではマウス行動実験を継続することが一時的に困難になっている。そこで、行動実験再開を待たずに詳細な組織学実験を行うこととした。既に1-2年目の実験で得ているマウスの脳サンプルを用いて、性的二型領域が周辺の領域の細胞とどのように遺伝子発現が異なっているのか、それらが行動で変化したのかについて検討する。最近、我々は遺伝子発現解析技術として新たな技術(in situ HCR法)を開発した。この手法を用いて様々な遺伝子発現変動を検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症により、2020年2月よりマウス飼育の規模を縮小した。そのため、ごくわずかだが剰余金が生じた。この剰余金は計画に示した他の実験に使用する予定である。
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