生物が環境の変化に適応しその生体恒常性を維持するためには、様々な生理反応の変化が起こる。生死に関わる強烈な恐怖に直面した場合の生理反応の変化は非常に早いため、脳内には体温や心拍数を急激に変化させることのできる緊急用スイッチとして機能する脳領域および神経細胞群が存在すると考えられる。しかし現在のところ、そのような緊急用スイッチは同定されていない。本研究課題では、げっ歯類(マウス)に対して本能的恐怖行動を引き起こす匂い物質である2MTが尾からの放熱によって体温低下を引き起こすことを明らかにした。さらに、この生理反応が、外側傍小脳脚核-視床下核-孤束核を介して引き起こされることを明らかにした。
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