研究課題
本研究では4つの課題を計画した。課題1:社会性異常行動に関わるニューロンは? 課題2:社会性異常行動はいつ惹起されるのか? 課題3:社会性異常行動を起因する分子は? 課題4:コミュニケーション障害と社会性異常行動は相関するのか? 以下、各課題について成果の概要を報告する課題1:生後3か月齢以上の成体のShank3欠損マウスにおいて、仔マウスとの対面試験から、社会性の行動異常として1)他マウスへとの接触を避ける警戒性、2)噛みつきなどの攻撃性、3)執拗な追い回し、4)抱え込み・過度のアログルーミング、を定義し、定量的な解析から行動様式の指標を確立した。課題2:生後1か月齢の離乳直後の若齢のマウス、および生後2か月齢の思春期のマウスにおいて対面試験を実施し、成体マウスが示す行動様式は発達過程において大きな変化がないことを確認した。これらの結果から、社会性異常行動は少なくとも生後1か月齢の若齢マウスで観察されることが判明した。課題3:成体のShank3欠損マウスと野生型マウスの大脳皮質サンプルを用いたマイクロアレイ解析から、異なる発現を示す遺伝子としてCcl21を特定した。また、プライマーアレイを用いた発現解析から、CCL6やCCL9、腫瘍壊死因子受容体など、野生型マウスと発現が異なる複数のサイトカイン・ケモカイン、また、その受容体を見出した。さらに、今年度、RNAシーケンシングを用いた発現解析から、Tuba1cやBaiap2l1など新たな候補遺伝子を複数取得した。課題4:母子間コミュニケーションの一つである新生児マウスが発信する超音波について、超音波マイクとビデオカメラをリンクさせ、超音波発信と行動との相関を解析する手法を開発した。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件)
Frontiers in Psychiatry
巻: 13 ページ: 1-13
10.3389/fpsyt.2022.821354.