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2021 年度 実施状況報告書

発達に伴う皮質運動ニューロン連関の可塑性変化 -運動ニューロンは学習するのか?-

研究課題

研究課題/領域番号 18K06528
研究機関帝京大学

研究代表者

大野 孝恵  帝京大学, 医学部, 准教授 (60508109)

研究分担者 福田 諭  帝京大学, 医学部, 助教 (50425641)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード運動ニューロン / ホールセル記録 / シナプス可塑性 / 長期増強(LTP) / GluN2B
研究実績の概要

大脳皮質運動野から脊髄運動ニューロンへの直接結合は高等霊長類にのみ存在し、巧緻運動を可能にするため進化した特殊な系と考えられてきたが、従来直接結合は無いと考えられていた齧歯類にもその幼初期には一過性に存在することが近年明らかにされ注目を集めている。しかしながら、成体マウスにおける脊髄運動ニューロンからのホールセル記録が困難なことから、一過性の皮質運動ニューロン直接結合にどのような機能的意義があり、どのようなメカニズムに基づいてシナプス除去されていくのか等不明な点が多く残されている。本研究にて、我々は生後7週齢マウスの運動ニューロンまで安定したホールセル記録を可能にしたことから、生後1週齢から3週齢にかけて見られる皮質運動ニューロン直接結合の除去過程を詳細に観察し、そのメカニズムの一部を明らかにして論文化した。また、中枢神経系で広く観察され、記憶・学習との関連が示唆されている長期増強LTPが脊髄細胞では観察され難いと考えられてきたが、これも同様の理由から詳細な研究はなされていないためであり、本研究にて、少なくとも皮質運動ニューロン直接結合のある脊髄運動ニューロンからはLTPを安定して記録できており、シナプス除去過程における、LTPの変化に加え、長期抑圧LTDの変化についても観察し、運動ニューロン自体の可塑性の変化についても、本年度中にまとめ、論文化する予定である。なお、そのメカニズムにNMDA受容体サブユニットであるGluN2Bが関与している可能性があり、それも合わせて検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究自体は継続しており、研究内容の一部は論文化に漕ぎつけたが、コロナ禍にて研究時間ならびに動物の搬入、あるいは輸入試薬の入手がかなり遅れ、特に発達過程を観察する我々の研究は、計画通りに進めることが困難であった。
また、繁殖中の動物の維持が一部難しくなり、野生型とのバッククロスなどの作業を挟まざるを得なくなったことも、研究を遅らせてしまう原因の一つとなった。

今後の研究の推進方策

引き続き、本年度中に論文投稿予定の、皮質運動ニューロン直接結合除去過程における、LTPならびにLTDの変化と、そこに関連する可能性のあるGluN2B依存性に関する研究を行う。運動ニューロン選択的にGluN2Bをノックアウトする手段として、今までは、Grin2B-Floxマウスの運動ニューロンに逆行性にAAV-Creを発現させていたが(支配筋への注入による)、本年度からはGrin2B-FlixマウスとChAT-Creマウスを掛け合わせ、運動ニューロン選択的にGluN2Bをノックアウトしたマウスを用いて、運動ニューロンのホールセル記録を行っていく方針である。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍に伴う研究時間の制限および海外からの試薬やウイルスの搬入遅延などにより、本年度投稿予定であった研究の一部を引き続き継続するため、残金を実験動物ならびに試薬の購入にあてる。また、遺伝子改変動物の維持・j繁殖にもあてたい。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Transient direct corticomotoneuronal connections during development in rodents, an electrophysiological study2021

    • 著者名/発表者名
      Ohno T, Fukuda S, Murabe N, Niido M, Sakurai M
    • 雑誌名

      Neuroscience

      巻: 478 ページ: 89-99

    • DOI

      10.1016/j.neuroscience.2021.09.006

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 発達期マウスにおける一過性皮質脊髄運動ニューロン直接結合: その除去メカニズムと個体・系統発生的意義2021

    • 著者名/発表者名
      大野孝恵
    • 雑誌名

      女医界

      巻: 824 ページ: 79-83

  • [学会発表] The elimination of cortico-motoneuronal synapses during development: involvement of GluN2B containing NMDA receptior2022

    • 著者名/発表者名
      大野孝恵
    • 学会等名
      第99回日本生理学会
  • [学会発表] Involvement of GluN2B-containing NMDA receptors in the elimination of cortico-motoneuronal synapses during development2021

    • 著者名/発表者名
      Takae Ohno
    • 学会等名
      Society for Neuroscience, Chicago, 2021
    • 国際学会
  • [学会発表] Developmental synapse elimination in cortico-motoneuronal synapse2021

    • 著者名/発表者名
      大野孝恵
    • 学会等名
      第44回日本神経科学学会

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公開日: 2022-12-28  

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