これまで我々はヒトの息を吸う瞬間が記憶課題の正解率低下を引き起こすことを発見した。この知見から「記憶の固定・再固定は、吸息により起こる」という命題を立てた。この対偶の一つは「吸息が起こらないと、エンコーディングが完了しない」である。これを証明するために、光操作による動物行動実験を行った。 組換えAAV接種と遺伝子改変マウスを用いることで、光操作による吸息活動を強制的に制御させ、さまざまな記憶課題のエンコーディングにおける強制的な吸息活動停止により、記憶想起のパフォーマンス低下が示された。これらの結果は、エンコーディングを完了させるためには、吸息活動が重要な役割を果たすことを示唆している。
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