研究課題/領域番号 |
18K06538
|
研究機関 | 公益財団法人実験動物中央研究所 |
研究代表者 |
松本 圭史 公益財団法人実験動物中央研究所, ライブイメージングセンター, 研究員 (60513463)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | マーモセット / 2光子顕微鏡 / 神経科学 |
研究実績の概要 |
申請者は、マーモセットの神経活動を約1ヶ月間継続的に観察することに成功している。しかし、異常タンパク質が神経細胞に取り込まれ、近接する細胞に伝播し、さらにその神経細胞が変性し、表現型を示すまでの全過程を明らかにするには数ヶ月以上の観察が必要である。長期観察を妨げる要因の一つは、マーモセットで顕著に見られる組織新生による観察部位の光透過性の低下である。そこで本年度はは、観察部位の手術方法の改良や、近年開発された組織新生を抑制する人工膜(GORE社製)の利用などにより約半年間という長期観察を実現した。さらに、神経変性による異常性を明らかにするためには、マーモセットの大脳皮質体性感覚野における正常時での基本的な応答様式を明らかにする必要がある。そこで本年度はマーモセット体性感覚野における、それぞれの体部位に対する応答と、電気刺激と振動刺激など刺激の違いによる応答変化を明らかにした。それぞれの体部位に対する応答は異なる体性感覚野の領域での応答が観察でき、さらに応答パターンについてもこれまで知られている脳地図と異なる可能性が示唆されている。まだ刺激の違いによる体性感覚応答もマクロ蛍光顕微鏡観察により、非常にクリアな差が観察されている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではマーモセットの大脳皮質を対象に、神経変性タンパク質の伝播状況を観察するが、その観察のためには正常状態での体性感覚野の応答状況を明らかにする必要がある。そこで本年度ではその部分に対する基本的知識の整備につとめた。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度では異常型α-Synの伝播過程とその影響を顕微鏡下で観察するために、赤蛍光ラベルした異常型α-Synか、もしくは赤蛍光ラベルした異常型α-Synを発現するアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を開発する。伝播先の神経細胞に、神経活動に伴い緑蛍光を呈するGCaMP6をAAVにより発現させる。それにより、赤蛍光により異常型α-Synの移動を観察し、異常型α-Synが伝播された神経細胞における影響を緑蛍光で観察することが可能になる。これらの実験を可能にするためのベクター開発および発現を実行する。
|