研究課題
前年度に発見された、ホウ素によるアルコール認識を介したC(sp3)-H変換の開発に取り組んだ。すなわち、ボレート型認識によりアルコールα位C-H結合の弱化現象が観測され、反応促進に関与するとともに、位置選択的なC(sp3)-H結合編案に繋がるものと考えられた。可視光レドックス触媒(PC)-水素原子移動触媒(HAT)系とホウ素結合弱化触媒系を共同させる形でアルコールα位およびMichaelアクセプターを結合させるC-Hアルキル化系を開発し、原著論文として報告できた(Synthesis, in press)。不斉化の検討も行ったが、現在までに有意な不斉収率の発現は見られていない。また並行して、より酸化耐性のあるケイ素化合物をホウ素の代わりに活用可能である事実も見いだすことができた。同様の反応形式にてシリカート型結合弱化現象を実証し、こちらも原著論文として報告した(Adv. Synth. Catal. 362, 337)。
1: 当初の計画以上に進展している
前年度に発見したボレート形成によるC-H結合弱化現象の確立に加え、これを基盤とした触媒探索を進めることで前例のないシリカート型C-H結合弱化現象も実証することが出来た。
令和元年度に報告できた「ボレート/シリカート型結合弱化現象」をもとに、天然に豊富に存在するアルコール化合物の位置選択的変換や、生物活性物質として興味が持たれるポリオール化合物の短工程合成、Michealアクセプター以外の反応相手へと拡張する方針などを進めていく。
予定していた消耗品費・旅費は別経費で賄うことが出来た。新しい発見も得られているので、次年度の展開をさらに加速させる目的に活用したい。引き続き、実験に必要な消耗品費や学会/打ち合わせ旅費を主要な使途として計上したい。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 7件、 招待講演 4件) 備考 (1件) 産業財産権 (2件) (うち外国 1件)
Advanced Synthesis & Catalysis
巻: 362 ページ: 337~343
10.1002/adsc.201901253
http://www.f.u-tokyo.ac.jp/~kanai/publication/index.html