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2018 年度 実施状況報告書

小胞体ストレスによる肥満形成のエピジェネティックによる制御機構解明と創薬

研究課題

研究課題/領域番号 18K06549
研究機関広島大学

研究代表者

小澤 孝一郎  広島大学, 医歯薬保健学研究科(薬), 教授 (10211822)

研究分担者 細井 徹  広島大学, 医歯薬保健学研究科(薬), 准教授 (40379889)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード肥満 / レプチン / エピジェネティクス
研究実績の概要

肥満は環境因子と遺伝的因子が関わる疾患であり、そのメカニズムについては不明な点が多く残されている。近年抗肥満因子であるレプチンが効きにくくなること、即ちレプチン抵抗性が肥満の主要な要因として問題視されている。申請者は、ホモシステインが異常タンパク質蓄積によって生じる小胞体ストレスを誘導し、レプチン抵抗性(肥満)の原因となることを示してきた。興味深いことに、ホモシステインは活性化メチル化サイクルによってアデノシンと共に生じ、DNAのエピジェネティックな制御にも関わる。そこで、本研究ではホモシステインやアデノシンによる、レプチン抵抗性(肥満)発症への関りを検討した。レプチン受容体を恒常的に発現させた神経細胞株を用いた検討の結果、アデノシン処置によりレプチンによるSTAT3のリン酸化が抑制され、アデノシンはレプチン抵抗性の形成に関わる可能性が確認された。そこでアデノシンによるレプチン抵抗性形成の分子機構を明らかにするためアデノシンと結合する分子の同定を試みた。アデノシンと磁気性ビーズを結合させたアデノシンビーズを作成し、結合候補因子を抽出して銀染色で解析した結果、いくつかの陽性バンドが認められ、結合候補因子の存在が明らかになった。そこで本因子をnano LC-Ms/Ms解析して同定と解析を試みた。その結果、nano LC-Ms/Ms解析で同定された候補因子の特異的抗体を用いた解析においても再現性が取れることが明らかになった。現在、競合阻害実験等で、アデノシンと本因子の結合特異性を検討している。今後は、本因子のsiRNAを用いた特異的ノックダウン法等を用いて、本因子がノックダウンされた時のレプチンシグナルに及ぼす影響を解析する予定である。このような解析により、アデノシンによるレプチン抵抗性形成機構の分子機序解明を目指す予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初、予定していた計画と予想通りの結果が得られたため、順調に進んだと考えられる。

今後の研究の推進方策

アデノシンと結合する候補因子が同定できたことより、アデノシンによるレプチン抵抗性形成機構解明の手がかりが一つ得られたと考えられる。本検討結果をもとに、さらに解析を進め、アデノシン・ホモシステインによるレプチン抵抗性形成機構の解明を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

試薬等の購入時期が若干ずれたため次年度使用額が生じた。研究計画に大きな変更や遅れもなく、次年度も引き続き、計画通り研究を実施する予定である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件) 学会発表 (5件)

  • [国際共同研究] International University(カンボジア)

    • 国名
      カンボジア
    • 外国機関名
      International University
  • [国際共同研究] Cairo University(エジプト)

    • 国名
      エジプト
    • 外国機関名
      Cairo University
  • [雑誌論文] Possible involvement of 4-hydroxy-2-nonenal in the pathogenesis of leptin resistance in obesity.2019

    • 著者名/発表者名
      Hosoi T., Kuwamura A., Thon M., Tsuchio K., Abd El-Hafeez A.A., & Ozawa K.
    • 雑誌名

      American Journal of Physiology- Cell Physiology

      巻: 316 ページ: C641-C648

    • DOI

      10.1152/ajpcell.00080.2018

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Anticancer effect of nor-wogonin (5, 7, 8-trihydroxyflavone) on human triple-negative breast cancer cells via downregulation of TAK1, NF-κB, and STAT3.2019

    • 著者名/発表者名
      Abd El-Hafeez A.A., Khalifa H.O., Mahdy E.A.M., Sharma V., Hosoi T., Ghosh P., Ozawa K., Montano M.M., Fujimura T., Ibrahim A.R.N., Abdelhamid M.A.A., Pack S.P., Shouman S.A., and Kawamoto S.
    • 雑誌名

      Pharmacological Reports

      巻: 71 ページ: 289-298

    • DOI

      10.1016/j.pharep.2019.01.001.

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Immobilization stress induces XBP1 splicing in the mouse brain.2019

    • 著者名/発表者名
      Hosoi T., Kimura H., Yamawaki Y., Mori K., and Ozawa K.
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 508 ページ: 516-520

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2018.11.167

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Incorporation of the Endoplasmic Reticulum Stress-Induced Spliced Form of XBP1 mRNA in the Exosomes.2018

    • 著者名/発表者名
      Hosoi T., Nakashima M., and Ozawa K.
    • 雑誌名

      Frontiers in Physiology

      巻: 9 ページ: 01357

    • DOI

      10.3389/fphys.2018.01357

    • 査読あり
  • [学会発表] フルルビプロフェンの小胞体ストレス軽減効果による糖尿病抑制の可能性2019

    • 著者名/発表者名
      松浦 武典,細井 徹,松﨑 周,親泊 政一,小澤 孝一郎
    • 学会等名
      第92回日本薬理学会年会
  • [学会発表] フルルビプロフェンのALDH2タンパク質に対する作用の解明2019

    • 著者名/発表者名
      城田 真輝,細井 徹,森 光平,小澤 孝一郎
    • 学会等名
      日本薬学会第139年会
  • [学会発表] 正常ならびに肥満病態時のグリア細胞の神経細胞におけるレプチンシグナルへの役割2018

    • 著者名/発表者名
      松村 奈美,細井 徹,長谷川 由貴,小澤 孝一郎
    • 学会等名
      第57回日本薬学会・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会 中国四国支部学術大会
  • [学会発表] フルルビプロフェンによるALDH2活性制御機構の解明2018

    • 著者名/発表者名
      細井 徹,森 光平,城田 真輝,小澤 孝一郎
    • 学会等名
      第71回日本酸化ストレス学会・第18回日本NO学会 合同学術集会
  • [学会発表] FlurbiprofenのALDH2タンパク質活性に対する影響の検討2018

    • 著者名/発表者名
      城田 真輝,細井 徹,森 光平,小澤 孝一郎
    • 学会等名
      第133回日本薬理学会近畿部会

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公開日: 2021-12-27  

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