研究実績の概要 |
昨年度合成に成功した4'-ヒドロキシメチル-4'-チオウリジンから4'-チオLNA誘導体への変換を検討した。Pummerer型チオグリコシル化反応により得られた4'-ヒドロキシメチル-4'-チオウリジン誘導体の1級ジオール部を脱保護した後、2つあるジオール部の一方を選択的に保護することを検討した。はじめにベンジル化の検討を行ったが、目的とするモノ-O-ベンジル体は全く得られず、ウラシルN3位がベンジル化された誘導体が得られた。保護基をベンゾイル基に切り替え条件検討を行ったところ、ジオール部を一旦ジベンゾエートとした後、メトキシド処理により中程度の収率ではあるがモノベンゾエートに変換できることを見出した。得られたモノベンゾエート体の2級ジオール部のアセタール保護基を除去し、4つあるヒドロキシ基のうち、所望の1級ヒドロキシ基のみをベンゾイル基で保護した4'-チオウリジン誘導体の合成を達成した。2'位以外のヒドロキシ基を保護するため、同誘導体に対し、1,1,3,3-テトライソプロピルジシロキシル(TIPDS)基で3'位と5'位を同時に保護することを試みた。しかし、目的とする3',5'-TIPDS体は全く得られず、2',3'-TIPDS体が主生成物として得られるのみであった。現在、他の保護基の導入を含め3',5',5''位それぞれを任意の保護基で保護した4'-チオヌクレオシド誘導体の合成を検討している。 第2のプロジェクトである、ジヒドロチオピラノヌクレオシド合成については、グリコシル化反応によるジヒドロチオピラノヌクレオシドへの変換を検討した。昨年度、合成を達成した疑似糖部となるジヒドロチオピラン誘導体を対応するスルホキシドに導いた後、当研究室で開発したPummerer型チオグリコシル化反応に付したところ所望のヌクレオシド誘導体が良好な収率で得られた。
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