研究実績の概要 |
昨年度合成に成功した4'-ヒドロキシメチル-4'-チオウリジンから4'-チオLNA/BNA誘導体への変換を検討した。Pummerer型チオグリコシル化反応により得られた4'-ヒドロキシメチル-4'-チオウリジン誘導体の糖部選択的保護の検討は不調であったことから、合成ルートの見直しを行った。これまでは、従来のLNA/BNAの合成例にならい、環化反応を行う際、5"側に脱離基を導入し、2'-ヒドロキシ基を求核剤として反応を行うことを考えていた。新たな合成計画では求核剤と脱離基を入れ替え、2'位を反転させるため、2,2'-O-シクロヌクレオシドへ導いた後、5"-ヒドロキシ基の求核攻撃により4'-チオLNA/BNAの合成を達成するものである。先に得られた4'-ヒドロキシメチル-4'-チオウリジンを定法に従い、2,2'-O-シクロヌクレオシドへの変換を試みたところ、目的とする4'-チオ-2,2'-O-シクロウリジンは得られず、代わりに最終目的物である4'-チオLNA/BNAウリジンモノマーが生成することを見出した。第2のプロジェクトである、ジヒドロチオピラノヌクレオシド合成については、ヘテロDiels-Alder反応により得られたジヒドロチオピラン誘導体を対応するスルホキシド誘導体に導いた。得られたスルホキシドに対し、ビス(TMS)ウラシルとのPummerer型チオグリコシル化反応を行い目的とするウラシル誘導体を得た。さらに同誘導体の塩基部をシトシンに変換した後、脱保護を行い、最終目的物のひとつであるジヒドロチオピラノシトシン誘導体の合成を達成した。
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