• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

創薬を指向したイミノ糖とチオ糖の新規誘導体の開発研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K06553
研究機関東北医科薬科大学

研究代表者

名取 良浩  東北医科薬科大学, 薬学部, 講師 (50584455)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードイミノ糖 / チオ糖 / 酵素阻害活性 / 複素環化合物 / ピペリジン環 / ピロリジン環
研究実績の概要

1)イミノ糖に関する研究ついて
分子内の適切な位置に二重結合とヘテロ原子をもつ基質を用いて酸触媒存在下、ジフェニルジセレニド、超原子価ヨウ素と反応させることでピペリジン環をもつ化合物が得られた。得られた環化体のフェニルセレニル基から官能基の変換を行うことで、天然物のピペリジンアルカロイドの合成を検討している。
また、ピロリジン環をもつイミノ糖の合成も検討した。1位にn-ブチル基をもつイミノフラノースのC1-3位のジアステレオマーの合成を達成した。さらに、それらのα-グルコシダーゼ阻害活性を評価した。イミノフラノースのジアステレオマーと酵素阻害活性との構造活性相関を明らかにした。また、L-イミノフラノースが酸性α-グルコシダーゼ (リソソームの加水分解酵素の1つ)と高い親和性を示すことを見出した。さらに、C1位にn-ヘプチル基をもつ場合、酸性α-グルコシダーゼの熱に対する安定性を高めることも判明した。以上の結果より、L-イミノフラノースからポンペ病の化学シャペロン療法の治療薬開発が期待できることを示した。
上記の結果を二報の学術論文として発表した。
2)チオ糖に関する研究について
分子内に脱離基をもつチオエポキシドから、エピスルホニウムイオンを経由する環化反応を開発した。本反応では、チオフラノース環と4位の置換基を構築できる。現在、キラルなチオエポキシドを使用して、チオ糖の立体選択的な合成を検討している。今後、得られたチオフラノースから、天然物のチオ糖アナログを合成し、その生物活性を評価する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1)イミノ糖に関する研究ついて
酸触媒存在下、ジフェニルジセレニド、超原子価ヨウ素と反応させることでフェニルセレニル基をもつピペリジン誘導体が得られた。フェニルセレニル基の酸化-脱離によりアルケンとした後、9-BBN (9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン)でヒドロホウ素化することで、2,6-trans配置のピペリジン誘導体を単一ジアステレオマーとして得られた。9-BBNが付加した化合物から、天然物のピペリジンアルカロイドであるSolenopsin Aの形式合成を達成できたため、おおむね順調に進展しているといえる。現在、フェニルセレニル基を足掛かりとして、環化生成物からイミノ糖および天然物の合成を検討している。
2)チオ糖に関する研究について
申請者が見出したチオフラノース環の構築は、五員環と糖の4位の置換基を一挙に構築できる画期的なものである。チオフラノース環を合成し、得られた化合物から抗がん作用を持つ天然物のチオ糖アナログを得る予定である。現在、ラセミ体でチオフラノースの1位に置換基を導入できることを見出した状態であり、研究はおおむね順調に進展している。今後、ラセミ体でなくD体またはL体のチオフラノースからチオ糖アナログの合成を行い、その生物活性を評価する予定である。

今後の研究の推進方策

現在までの進捗状況で述べた通り、窒素をふくむ環と硫黄をふくむ環の構築法を開発した。本反応を鍵反応として、ピペリジンアルカロイドや天然物のチオ糖アナログの合成を検討する予定である。
2020年度では、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行のため、参加を予定していた複数の学会が中止・延期となった。2021年度では、オンラインで開催される学会にて発表を行い、多くの研究者とのディスカッションをおこない、研究の推進につなげる予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナウイルス感染症の流行のため、参加を予定していた複数の学会が延期またはオンライン開催となった。予定していた旅費を使用しなかったため。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (4件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] L-イミノフラノース誘導体の合成とその生物活性評価に関する研究2021

    • 著者名/発表者名
      名取 良浩
    • 雑誌名

      YAKUGAKU ZASSHI

      巻: 141 ページ: 15-24

    • DOI

      10.1248/yakushi.20-00194

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Strategy for Designing Selective Lysosomal Acid α-Glucosidase Inhibitors: Binding Orientation and Influence on Selectivity2020

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Kato, Izumi Nakagome, Mizuki Hata, Robert J. Nash, George W. J. Fleet, Yoshihiro Natori, Yuichi Yoshimura, Isao Adachi, Shuichi Hirono
    • 雑誌名

      Molecules

      巻: 25 ページ: 2843

    • DOI

      10.3390/molecules25122843

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] ビス(ヒドロキシメチル基)の選択的変換による4’-置換チミジン類の合成2021

    • 著者名/発表者名
      遠藤 柚季乃、若松 秀章、伊藤 恭平、名取 良浩、斎藤 有香子、吉村 祐一
    • 学会等名
      第141年会 日本薬学会年会
  • [学会発表] 3価の超原子価ヨウ素試薬と(PhSe)2を用いた含窒素複素環化合物の合成法の開発2021

    • 著者名/発表者名
      鈴木 郁、名取 良浩、萬 浩太、若松 秀章、斎藤 有香子、吉村 祐一
    • 学会等名
      第141年会 日本薬学会年会
  • [学会発表] 4'-置換ヌクレオシド誘導体の光学分割と絶対構造の決定2020

    • 著者名/発表者名
      遠藤柚季乃,若松秀章,伊藤恭平,名取良浩,斎藤有香子,吉村祐一
    • 学会等名
      第59回日本薬学会東北支部大会
  • [学会発表] 超原子価ヨウ素と(PhSe)2を用いた含窒素複素環構築法の開発2020

    • 著者名/発表者名
      鈴木郁,名取良浩,萬浩太,若松秀章,斎藤有香子,吉村祐一
    • 学会等名
      第59回日本薬学会東北支部大会
  • [備考] 東北医科薬科大学薬学部 分子薬化学教室ホームページ

    • URL

      http://www.tohoku-mpu.ac.jp/laboratory/bunsiya/index.html

  • [備考] 東北医科薬科大学薬学部 分子薬化学教室 Facebook

    • URL

      https://www.facebook.com/bunshiyakka/

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi