研究実績の概要 |
臨床上有用な抗真菌剤であるものの重篤な副作用を有するamphotericin B (AMPB) の副作用軽減を指向し、AMPB活性増強作用のみを示す世界初の新規天然有機化合物、FKI-4981Bならびにshodoamide C を基盤とした、有機合成化学的アプローチによるAMPB活性増強剤の開発を目指す。まず FKI-4981B 及び shodoamide C の全合成による未知の立体配置の決定を行い、その後、全合成経路を応用した誘導化や構造の簡略化、キメラ型誘導体の合成等を経て構造活性相関の知見を得る。そして更なる化合物の設計/合成/活性評価/フィードバックのサイクルを繰り返し、最終的に強力なAMPB活性増強効果を有し大量合成可能な候補化合物の創製を目指す。 当研究グループでは、2回の立体選択的なReformatsky反応やウロシルブロミド とのグリコシル化等を経て、FKI-4981Bの全てのジアステレオマーの合成を可能とする包括的な合成経路の確立に成功している。そこで本年度は、用いる不斉補助基ならびに側鎖の立体異性体を適宜組み合わせることで計 8 種のジアステレオマー群の合成を行い、FKI-4981Bの構造決定を行うこととした。 その結果用いるオキサゾリジノンならびに 6 の立体異性体を適宜組み合わせることで、計 8 種のジアステレオマー群の合成を行い、全てのジアステレオマー群の合成を達成すると共に、未知であった3つの不斉炭素はそれぞれ 3R,5R,13R であると決定することができた。
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