研究課題/領域番号 |
18K06554
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
大多和 正樹 北里大学, 薬学部, 准教授 (70453503)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 天然物合成化学 / 活性増強物質 / アムホテリシンB |
研究実績の概要 |
臨床上有用な抗真菌剤であるものの重篤な副作用を有するamphotericin B (AMPB) の副作用 軽減を指向し、AMPB活性増強作用のみを示す世界初の新規天然有機化合物、FKI-4981Bならびにshodoamide C を基盤とした、有機合成化学的アプローチによるAMPB活性増強剤の開発を目指す。まず FKI-4981B 及び shodoamide C の全合成による未知の立体配置の決定を行い、その後、全合成経路を応用した誘導化や構造の簡略化、キメラ型誘導体の合成等を経て構造活性相関の知見を得る。そして更なる化合物の設計/合成/活性評価/フィードバックのサイクルを繰り返し、最終的に強力なAMPB活性増強効果を有し大量合成可能な候補化合物の創製を目指す。 当研究グループでは、2回の立体選択的なReformatsky反応やウロシルブロミド とのグリコシル化等を経て、FKI-4981Bの全てのジアステレオマーの合成を可能とする包括的な合成経路の確立に成功している。そこで用いる不斉補助基ならびに側鎖の立体異性体を適宜組み合わせることで計 8 種のジアステレオマー群の合成を行い、FKI-4981Bの構造決定を達成した。その成果は本年度、Org. Lett.誌に受理された。本年度は合成経路のブラッシュアップを行い、工程数の短縮に成功しただけでなく、新たな合成経路を用いた種々の誘導体合成も行った。それと並行してshodoamide Cの合成研究を開始し、現在カルボン酸側鎖中間体の合成が完了している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FKI-4981 B の合成経路の改良を達成し、それを応用したさらなる誘導体の合成も行うことが出来た。従って本研究におけるFKI-4981 Bを標的とした計画については完了できたと考えている。Shodoamide Cの合成研究については順調に進行しているものの、来年度内での研究完了へ向けてより研究のスピードを上げて行きたい。
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今後の研究の推進方策 |
Shodoamide C の全ジアステレオマー群の合成と構造決定を目的に、引き続き全てのジアステレオマーの合成を可能とする包括的な合成経路を確立したいと考えている。現在カルボン酸側鎖の合成達成まで残り数工程となっており、アミンユニットのエナンチオ選択的な合成ほ経て、shodoamide 類の合成を目指す。 その後構造決定の後、FKI-4981B ならびにshodoamide C を基盤としたAMPB活性増強剤開発へ向け、AMPB活性増強作用の向上を指向しつつ、大量合成可能な誘導体の創製を目指す。
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