研究実績の概要 |
肝臓で中性脂質 (コレステリルエステル (CE) とトリグリセリド (TG))が異常蓄積した脂肪肝状態は、炎症と線維化を惹起し、脂肪肝炎へと進展することから、その予防・治療法が求められている。本研究では、1) 微生物資源を対象に、細胞内に中性脂質CEとTGを脂肪滴として蓄積させ、形成した脂肪滴を除去する (分解する) 機能分子を探索すること、2) 既に研究代表者の研究グループ (北里大) が発見したSOAT2選択的阻害剤ピリピロペン (PRD誘導体) や脂肪滴蓄積阻害剤ボーベリオライドなどの動物レベルでの有効性を検証すること、3) 項目1)で発見した新しい微生物由来の細胞内脂肪滴除去 (分解) 機能分子の構造やその標的分子を解明することを目的として進めている。 まず1) 微生物由来の細胞内脂肪滴除去 (分解) 機能分子の探索については、北里大学薬学部微生物薬品製造学教室で供給される約4,000 サンプルの微生物培養液サンプルなどを中心に評価した結果、精製候補サンプルとして58サンプルを選別し、細胞内脂肪滴除去 (分解) 活性の強いサンプルから順次、精製を進めた。つぎに2)動物実験に関する研究については、SOAT2選択的阻害剤ピリピロペンA誘導体と脂肪滴蓄積阻害剤ボーベリオライド誘導体に焦点をあて、動物レベルでの有用性を評価した。最後に3) 標的分子の解明に関する研究については、1)で単離した細胞内脂肪滴除去 (分解) 機能分子の化学構造と作用メカニズムについても検討を進めた。
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