研究課題/領域番号 |
18K06559
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
穴田 仁洋 武蔵野大学, 薬学部, 教授 (90344473)
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研究分担者 |
片川 和明 武蔵野大学, 薬学部, 講師 (90433606)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 抗がん剤リード化合物 / アミノ酸トランスポーター / ブラシリカルジン |
研究実績の概要 |
アミノ酸トランスポーター1 (LAT1)を標的分子とする新規抗がん剤リード化合物の創出研究として、本年度はブラシリカルジン類のコア骨格を単純化した類縁体の合成を検討した。文献既知のWieland-Miescherケトン誘導体に対する還元的メチル化を行った後にケトンの立体選択的還元、アセタール保護基の除去とヒドロキシ基のシリル化を行い二環性ケトンの調製を行った。ケトンから誘導されるトシルヒドラゾンをBamford-Stevens反応によりアルケンとした後、アリル位の酸化と共役エノンのα位ヨード化を行いα-ヨード-α,β-エノンに変換した。現在クロスカップリング反応によるメチル基の導入とケトンの立体選択的還元を検討中であり、その後Claisen転位を経て側鎖部分の導入を行う予定である。なお、モデル基質を用いたClaisen転位は収率よく進行することを確認している。また、ラジカル環化反応を機軸とするブラシリカルジン類のコア骨格であるtrans/syn/trans-ペルヒドロフェナントレン骨格の第2世代合成法の開発を目指し、モデル基質としてデヒドロアビエチン酸のベンジル位を酸化およびケトンの立体選択的還元により三環性ベンジルアルコールの調製を行った。現在このアルコールのBirch還元を検討中であり、首尾よく1,4-シクロヘキサジエン誘導体に変換できればラジカル環化反応の基質となるブロモメチルシリルエーテルへの変換を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ブラシリカルジン類のコア骨格単純化類縁体合成については鍵中間体となるアリルアルコール合成の目途が立ち、かつモデル基質を用いたClaisen転位が収率良く進行したことから、おおむね順調に進捗しているものと思われる。なお、本法で合成される中間体はハリコニン類(抗腫瘍活性天然物)やエブラクペンB(リパーゼ阻害活性を示す天然物)等、他の生物活性天然物およびその関連誘導体の合成にも適用可能と考えられることから、それらの天然物合成への展開も検討していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、ブラシリカルジン類のコア骨格単純化類縁体の合成およびラジカル環化反応を機軸とするtrans/syn/trans-ペルヒドロフェナントレン骨格の第2世代合成法の開発について検討を行っていく予定である。また、これらの方法で合成可能な立体化学の異なる関連誘導体の調製も随時行い、生物活性評価に必要なサンプルの供給を試みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた合成経路より効率的な基質合成ルートを開拓することができたため、試薬類および溶媒の購入費用を抑えることができた。次年度はこの合成ルートの妥当性を証明し、かつ多様な構造様式をもつ関連誘導体の合成に必要な試薬および溶媒類の購入に充てたい。
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