研究課題/領域番号 |
18K06559
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
穴田 仁洋 武蔵野大学, 薬学部, 教授 (90344473)
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研究分担者 |
片川 和明 武蔵野大学, 薬学部, 講師 (90433606) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 抗がん剤リート化合物 / アミノ酸トランスポーター / プロパルギルエーテル / ブラシリカルジン |
研究実績の概要 |
(1) アミノ酸トランスポーター1 (LAT1)を標的分子とする新規抗がん剤リード化合物の創出研究として、本年度はLAT1に親和性をもつ脂溶性アミノ酸側鎖と抗がん作用を示すプロドラッグを特異的に活性化しうる金属触媒サイトを併せ持つアミノ酸誘導体の設計および合成を展開した。すなわち、水および空気の存在下で非常に安定なロジウム(II)アセタートに対し、α-アミノ酸側鎖をもつカルボン酸であるBoc-Glu-OtBuとの配位子交換反応を行い、低収率ながらRh2(Boc-Glu-OtBu)4を得ることができた。現在、この錯体の脱保護を検討するとともに、配位子一つだけを交換した(AcO)3Rh2(Boc-Glu-OtBu)の合成を検討中である。また、ロジウム(II)カルボキシラート錯体のホスフィン付加体が、アリールプロパルギルエーテルの脱プロパルギル化を触媒することを見出した。本触媒系はがん細胞に対し強力な細胞増殖抑制作用を示す天然物コンブレタスタチンA4プロパルギルエーテル(コンブレタスタチンA4よりも格段に生物活性が低下する)の脱プロパルギル化にも適用可能であった。現時点では反応の促進には加熱が必要であることが分かっているため、現在反応温度を下げることができる触媒系の探索を行っている。 (2) 上記の研究と並行してブラシリカルジン類コア構造を単純化た類縁体の合成に取り組んでおり、トランスデカリン骨格への二重結合の導入およびアリル位の酸化条件に付いて詳細な条件検討を行い有益な知見をいくつか得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に引き続き、本年度も新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、実験を担う学生ばかりでなく申請者自身も研究室での実験が大幅に制限された。少人数でも研究を推進できる体制を整えつつあることから、本年度はこれまで展開できなかった研究も推進していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続きブラシリカルジン類のコア骨格単純化類縁体の合成を進めるとともに、アミノ酸側鎖をもつロジウム(II)錯体のLAT1への親和性について外部研究機関に測定を依頼し、得られた知見を基に側鎖および錯体構造の最適化を図っていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言に伴う研究活動制約により試薬や実験器具の購入頻度が低下したため。次年度は本年度実施できなかった実験用の試薬および実験器具購入に充てる予定である。
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