• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実施状況報告書

不飽和結合および超原子価ヨウ素化合物の特性を活用する新規連続反応の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K06564
研究機関広島国際大学

研究代表者

柳田 玲子  広島国際大学, 薬学部, 教授 (80239821)

研究分担者 末田 拓也  広島国際大学, 薬学部, 准教授 (40260682)
岡本 典子  広島国際大学, 薬学部, 助教 (40535580)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードジイン化合物 / カルボニル化合物 / [2+2]-反応 / タンデム反応 / 1,6-付加反応 / 酸化的芳香族化 / フルオレン / Friedel-Craftsアルキル化
研究実績の概要

<タンデム分子間[2+2]-環化付加/分子内[2+2]-環化付加反応>
薗頭反応により容易に合成可能な鎖状ジイン化合物とアルデヒドとのタンデム分子間[2+2]-環化付加/分子内[2+2]-環化付加反応の条件を種々検討したところ、位置及び立体選択的に反応が進行し、α,β,γ,δ-不飽和ケトンを良好な収率で得ることに初めて成功した。続くFriedel-Craftsアルキル化/超原子価ヨウ素による酸化的芳香族化反応も達成できる”酸触媒”を見出すため検討を重ねたが、副生成物の問題などで難しく、結局、反応の前半ではBF3・Et2Oを酸触媒として用いることにした。アルデヒドは芳香族でも脂肪族でも[2+2]-反応はスムーズに進行することがわかった。

<タンデムFriedel-Craftsアルキル化あるいは1,6-付加/超原子価ヨウ素試薬による酸化的芳香族化反応>
次にルイス酸触媒存在下、前半の反応で生成したα,β,γ,δ-不飽和ケトン中間体とフェニルヨードニウムジアセテートとの反応を検討した。後半の反応はBF3・Et2Oをルイス酸触媒とするとうまく進行せず、最終的にIn(OTf)3をルイス酸触媒として用いることにした。前半の反応で使用したアルデヒドが芳香族の場合の中間体からは、Friedel-Craftsアルキル化が選択的に進行し、その後、リガンド交換/酸化的芳香族化が進行し、最終的に光電子光学・半導体・太陽電池・不斉配位子などの分野で重要な9-アリールフルオレン化合物を得ることができた。アルデヒドが脂肪族の場合は、驚いたことにα,β,γ,δ-不飽和ケトン中間体に対する求核剤の1,6-付加反応が進行し、ビアリール誘導体が得られることがわかった。芳香族アルデヒドと脂肪族アルデヒドの付加中間体に対して、続く反応経路が異なるのは非常に興味深いことから、現在エネルギー計算を検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究は予定通りに進行しているというわけではないが、必要に応じて、可能な限り計画に沿った研究になるように修正を加えている。そのため達成度としては順調と考えている。

今後の研究の推進方策

鎖状ジイン化合物とアルデヒドとの反応で生成したα,β,γ,δ-不飽和ケトン中間体に対して、触媒量のIn(OTf)3が作用した時に生成するδ-位のカルボカチオンの安定性が、δ-位に付加しているアルデヒド由来の置換基により影響を受けることが示唆された。付加したアルデヒドが芳香族の場合は分子内Friedel-Craftsアルキル化が進行し、脂肪族の場合は分子間1,6-付加反応が進行している事実から、計算化学により遷移状態の様子などを検討する予定である。また1,6-付加反応では分子内に生成したアセテートアニオンが求核付加をしているので、反応系内により求核性の高い別の求核種を共存させて、反応の影響を検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

(理由) 当初予定した実験がうまく行かず、少し予定を変更した。それに伴って購入試薬類にも変更が生じたため。
(使用計画) 今年度は2年目なので実験を精力的に進める予定であり、試薬類の購入に充てたいと考えている。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Synthesis of tricyclic isoindolones via nickel‐catalyzed decyclization-addition-cyclization of α‐hydroxy ynamides2019

    • 著者名/発表者名
      Noriko Okamoto, Reiko Yanada, Takuya Sueda
    • 雑誌名

      Eur. J. Org. Chem.

      巻: なし ページ: 691-695

    • 査読あり
  • [雑誌論文] One-pot synthesis of triazole-fused isoindoles from o-alkynylbenzaldehydes and trimethylsilyl azide2018

    • 著者名/発表者名
      Noriko Okamoto, Takuya Sueda, Hideki Minami, Reiko Yanada
    • 雑誌名

      Tetrahedron Lett.

      巻: 59 ページ: 1461-1464

    • 査読あり
  • [学会発表] 1級アレニルアミン等価体としてのN-アレニルフタルイミドの活用2019

    • 著者名/発表者名
      高橋美帆,末田拓也,岡本典子,柳田玲子
    • 学会等名
      日本薬学会第139年会
  • [学会発表] 鎖状ジイン化合物とカルボニル化合物を原料とする新規連続反応の開発2019

    • 著者名/発表者名
      大島早貴,岡本典子,末田拓也,柳田玲子
    • 学会等名
      日本薬学会第139年会
  • [学会発表] 超原子価ヨウ素試薬を用いるスピロ環化合物のワンポット合成2019

    • 著者名/発表者名
      川井健太郎,岡本典子,末田拓也,柳田玲子
    • 学会等名
      日本薬学会第139年会
  • [学会発表] N-アルキニルフタルイミドを活用する複素環合成-ルイス酸に依存する反応経路の選択性2018

    • 著者名/発表者名
      岡本典子,末田拓也,柳田玲子
    • 学会等名
      第44回反応と合成の進歩シンポジウム
  • [学会発表] 超原子価ヨウ素試薬を用いる9-スピロフルオレン化合物の合成2018

    • 著者名/発表者名
      川井健太郎,岡本典子,末田拓也,柳田玲子
    • 学会等名
      日本薬学会中国四国支部学術大会第57回
  • [図書] 薬系有機化学2018

    • 著者名/発表者名
      山口泰史、安藤章、藤岡晴人、宮岡宏明、森川勉、田口博明、表雅章、柳田玲子、河野富一
    • 総ページ数
      445ページ
    • 出版者
      南江堂
    • ISBN
      978-4-524-40334-9
  • [備考] 有機薬化学研究室

    • URL

      https://www.hirokoku-u.ac.jp/pharm/organic_medicinal/

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi