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2019 年度 実施状況報告書

蛋白質の構造変化過程を標的とした新規分子設計法による緑膿菌MurDの阻害剤探索

研究課題

研究課題/領域番号 18K06569
研究機関北海道大学

研究代表者

福原 秀雄  北海道大学, 薬学研究院, 特任助教 (80707191)

研究分担者 児玉 耕太  立命館大学, テクノロジー・マネジメント研究科, 准教授 (90419424)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード緑膿菌 / MurD / 構造解析 / 阻害剤スクリーニング / MDシミュレーション
研究実績の概要

本研究は、多剤耐性菌の発生が問題となっている緑膿菌のペプチドグリカン合成酵素MurDについて、酵素反応中のsemi-closed 状態を含む各状態のスナップショット構造とMDシミュレーションを併用し、ドメイン構造の大きな動きを途中で「繋ぎ止める」ことで酵素反応を阻害する低分子化合物「ケミカルクリップ」を設計することを目的とする。
初年度はOpen構造の緑膿菌MurDについて結晶構造を決定することができたため、今年度はClosedおよびsemi-closed状態の結晶構造解析のため、基質であるUDP-N-アセチルムラモイル-L-アラニン(UMA)、D-グルタミン酸、ATPと前年度の阻害剤スクリーニングで得られたヒット化合物それぞれ単独あるいは複数の組み合わせでMurDとの共結晶化を試行し、いくつかの条件で得られた結晶について回折実験を実施した。
また、酵素活性を指標とした阻害スクリーニングで得られたヒット化合物の類縁体について、濃度依存性の試験とカウンターアッセイを行なったところ、IC50は0.8μMであった。これまでに得られたOpen構造の結晶構造解析とスクリーニング系の構築およびスクリーニング結果まで含めた論文の投稿を準備している。
一方、緑膿菌MurDの構造変化自体のMDによる計算が困難であったため、大腸菌MurDと基質との複合体構造を利用し、MM-PB(GB)SAにより結合自由エネルギーを計算した。
以上のように、Dry(計算)とWet(実験)の融合に向けて、多面的に研究を進めることができている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度に調製した緑膿菌の組換えMurDタンパク質を用いて、基質であるUMA、D-グルタミン酸、ATPと前年度の阻害剤スクリーニングで得られたヒット化合物それぞれ単独あるいは複数の組み合わせでMurDとの共結晶化を試行し、いくつかの条件で結晶が得られたため、条件を展開した。ヒット化合物については、濃度依存性の試験とカウンターアッセイを行ない、IC50が0.8μMであった。既に構築していた阻害スクリーニング系は、96ウェルのミディアムスケールであったため、これをスケールダウンして最適化し、384プレートで東大コアライブラリーの15000化合物についても評価を進めている。
構造決定することができたOpen構造の緑膿菌MurDを基にした、構造変化自体のMDによる計算が困難であったため、大腸菌MurDと基質との複合体構造を利用し、AmberToolsに含まれるMM-PB(GB)SAにより結合自由エネルギーを計算し、構造最適化を試みている。

今後の研究の推進方策

今後は、基質あるいはヒット化合物との共結晶で得られた組換え緑膿菌MurDタンパク質の構造解析を行い、基質あるいは阻害剤の電子密度が含まれるか解析する。
また、先のスクリーニングでは、in silicoのドッキングシミュレーションで予測された上位1500化合物を評価し、得られたヒット化合物の類縁体からIC50が0.8μMの化合物を見出したが、更に高活性な化合物を得るため、スケールダウンしたスクリーニング系で東大コアライブラリー15000化合物についても評価する。既に得られたヒット化合物についてはSPRおよび溶液NMRにて結合状態の評価を行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Structure and screening for P. aeruginos MurD inhibitors using several evaluation systems including in dry and wet2020

    • 著者名/発表者名
      CAO, Jianfei
    • 学会等名
      Pacifichem 2020
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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