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2020 年度 実績報告書

核内受容体による新たな細胞制御技術の開発;レチノイン酸受容体の分解制御に着眼して

研究課題

研究課題/領域番号 18K06572
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

湯浅 磨里  東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (80506303)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード核内受容体
研究実績の概要

当研究グループが開発した合成レチノイドAm80(一般名:タミバロテン)は難治性及び再発の急性前骨髄球性白血病(APL)治療薬であり、核内受容体レチノイン酸受容体(RAR: Retinoic acid receptors)RARα/β選択的アゴニストである。
申請者は、これまでにAm80の適用拡大を検討するため、各種がん細胞におけるAm80とエピジェネティック阻害剤(DNAメチル基転移酵素阻害剤5-Azasicidine、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤SAHA)の併用効果に着目した。この一連の研究でいくつかの固形がん細胞においてエピジェネティックな変化によりRARαの発現が抑制されている点に着目し、エピジェネティック阻害剤を用いることで、がん細胞でサイレンシングされた核内受容体の発現を回復させることを検討した。その結果、ClassIIbに属するヒストン脱アセチル化阻害剤がAm80との併用に効果を示すことが明らかとなった。このことから、ClassIIbのHDAC6のターゲットの一つであるHSP90はアセチル化が亢進し、本来であればRARαのシャペロンとして親和性を示しているHSP90はRARαと解離し、その結果として核移行を制御していることが示唆された。
最終年度は、前年度までに明らかになったRARαの核移行制御が固形がん以外の細胞種や凝集状態やスフェロイドなどの培養条件、すなわち実際の生体環境に近いと考えられる条件においても共通の制御が行われているか検討を進めた。現在本解析は進行中であるが、いくつかの条件では、二剤の併用効果およびRAR核移行の制御は通常の2次元培養より顕著になる細胞種と培養条件がいくつか明らかになった。これは本メカニズムが創薬のターゲットになり得ると示唆するものである。これらの細胞種で同様の制御が行われているか、詳細な検討を行っている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Chemical Screening of Nuclear Receptor Modulators2020

    • 著者名/発表者名
      Ishigami-Yuasa Mari、Kagechika Hiroyuki
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 21 ページ: 5512~5512

    • DOI

      10.3390/ijms21155512

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Development of Androgen-Antagonistic Coumarinamides with a Unique Aromatic Folded Pharmacophore2020

    • 著者名/発表者名
      Koga Hitomi、Negishi Mai、Kinoshita Marie、Fujii Shinya、Mori Shuichi、Ishigami-Yuasa Mari、Kawachi Emiko、Kagechika Hiroyuki、Tanatani Aya
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 21 ページ: 5584~5584

    • DOI

      10.3390/ijms21155584

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Activation of β2‐adrenergic receptor signals suppresses mesenchymal phenotypes of oral squamous cell carcinoma cells2020

    • 著者名/発表者名
      Sakakitani Shintaro、Podyma‐Inoue Katarzyna A.、Takayama Rina、Takahashi Kazuki、Ishigami‐Yuasa Mari、Kagechika Hiroyuki、Harada Hiroyuki、Watabe Tetsuro
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: 112 ページ: 155~167

    • DOI

      10.1111/cas.14670

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ヒト前立腺がん細胞におけるタミバロテンとヒストン脱アセチル化 酵素阻害薬の併用効果の検討および作用機序の解明2020

    • 著者名/発表者名
      湯浅 磨里、影近 弘之
    • 学会等名
      第79回日本癌学会学術集会
    • 国際学会

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公開日: 2021-12-27  

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