研究課題
本研究の目的は、すでに開発したキラルカルベン配位子の配位子設計概念を応用した新規キラル有機分子触媒の創生である。遠隔位での電子チューニングと近 接位への官能基導入が基本戦略である。本目的を達成するため実験を行い、令和元年度は以下の成果を得た。 (1) キラリティー伝播と遠隔位電子効果を設計基盤とするキラルチオウレア触媒およびキラルセレノウレア触媒の合成に成功した。(2) 合成したキラルチオウレア触媒およびキラルセレノウレア触媒を用いて4-アルケンカルボン酸のブロモラクトン化反応を検討した。その結果、触媒の構造が6-endo/5-exo選択性に大きな影響を与えることを見出した。(3) トリアゾリウム型カルベン触媒を用いる不斉アシル化反応をヒドロキシアミド類の速度論的光学分割に応用し、高い選択性を達成できる条件を見出した。 (4) キラル第四級アンモニウム塩触媒を用いるスルホニルアルキニルスルホンアミドの不斉環化反応を検討し、エナンチオ選択性が用いるキラル第四級アンモニウム塩の構造に大きく依存することを明らかにした。(5) キラルパラジウム触媒を用いるイミノアミドへのアリールボロン酸の不斉付加反応において期待の持てる結果を得た。(6) アミノ酸触媒を用いるイミノアミドへのアルデヒドの不斉マンニッヒ型付加反応において期待の持てる結果を得た。
3: やや遅れている
目的とするキラル有機分子触媒のうちキラルチオウレア触媒およびキラルセレノウレア触媒の合成に成功したものの、反応探索が当初の予定ほど進捗していない。
当初の予定よりやや遅れてはいるが、引き続き計画に従って研究を押し進めていく。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
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