新しいフッ素化合物を供給する方法論の開発は、生命科学研究において重要な課題であるが、最も効率的と考えられるC-H結合のフッ素化に関して、その立体制御を成す一般的な方法論は未だ確立されていない。そのため、C-Hフッ素化反応の立体制御法の開発を目指した本研究は学術的に挑戦的である。一方、その生成物は含フッ素ケミカルスペースの拡充に貢献することから、意義ある課題である。今回、ラジカル中間体をキラル相間移動触媒から調製されるキラルフッ素化剤と反応させることで、その立体制御が可能であることを示すことができた。これによりラジカル的なフッ素導入における立体制御の新たな方法論を提供するきっかけを得た。
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