研究課題/領域番号 |
18K06589
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
田口 博明 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (20549068)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 抗体酵素 / タウオパチー / ペプチド / 抗体医薬 |
研究実績の概要 |
当該年度は昨年度に引き続き抗体酵素を誘導する抗原の合成を行った。 昨年度までタウタンパク質が過剰にリン酸化され、タウ凝集体形成や神経細胞毒性を発現するために必要である部分配列を含む保護ペプチドの合成条件を種々検討してきた。その成果として、収率および純度が改善された保護ペプチド合成の条件を確立した。 今年度は、ペプチド性リン酸ジフェニルエステル誘導体であるCys-Tau(12-23)-LysP(OPh)2、Cys-Tau(285-297)-LysP(OPh)2、Cys-Tau(382-394)-LysP(OPh)2の合成を引き続き行った。昨年度までの成果を活用し、今後の合成に必要十分量であると考えられる保護Cys-Tau(382-394)を樹脂上で合成し、樹脂からの脱離により得られた保護Cys-Tau(382-394)-OHとLysを模倣したリン酸エステルとの縮合により、保護Cys-Tau(382-394)-LysP(OPh)2を得る事が出来た。今後の展開として、保護Cys-Tau(12-23)-OHと保護Cys-Tau(285-297)-OHの合成、それらを利用し保護Cys-Tau(285-297)-LysP(OPh)2および保護Cys-Tau(12-23)-LysP(OPh)2の合成、得られた保護ペプチド性リン酸ジフェニルエステル誘導体の最終脱保護により全ての保護基を除去した後、HPLCで精製を行う。精製されたCys-Tau(12-23)-LysP(OPh)2、Cys-Tau(285-297)-LysP(OPh)2、Cys-Tau(382-394)-LysP(OPh)2は、質量分析によりその構造を確認し、HPLCにて純度を確認する。マレイミド構造を含むリンカーで修飾したキャリアタンパク(KLH)と得られたペプチド性リン酸ジフェニルエステル誘導体を結合し、複合体を形成させた抗原を合成する計画である。また、免疫により特異抗体が得られたかをELISA法にて確認するため、Tau(12-23)、Tau(285-297)およびTau(382-394)ペプチドを異なったキャリアタンパク(BSAなど)と結合した複合体も合成する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由 今年度に予定していた実験計画が新型コロナウイルスの感染拡大により実行することができなかった。その結果、抗原の合成を完遂することができなかった。現在、計画の完遂にむけて合成が進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策は、該当年度に達成されなかった抗原の合成を完遂し、動物実験を速やかに行い、得られた抗体を評価することである。抗原の合成は十分量のペプチドリン酸ジフェニルエステルを得たのち、 二機能リンカーで修飾されたキャリアタンパクを用いて複合体とすることにより抗原を合成する。得られた抗原をアジュバントと混合し、マウスに腹腔内投与し、数回の 投与後、採血により得られた血清中の抗タウ抗体をELISA法にて測定する。抗タウ抗体の産生が確認された場合、血清よりプロテインGまたは抗マウスIgMを固定したアフィニティークロマトグラフィにてIgGおよびIgMを精製し、得られIgGおよびIgMについて加水分解活性や凝集抑制作用を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度に予定していた実験計画が、コロナ感染拡大により予定通り実行することが出来なかったためです。次年度は速やかに実験計画を遂行する予定です。
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