研究課題/領域番号 |
18K06591
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大友 康平 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (40547204)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 超解像顕微鏡 / STED顕微鏡 / 二光子顕微鏡 / in vivoイメージング / 偏光イメージング |
研究実績の概要 |
本研究課題は、数日にわたる長期間に渡り、生きた動物の組織内部における微細形態、超分子複合体構造を超解像可視化追跡できる方法論を構築することを目的とする。 2018年度は既存の二光子超解像顕微鏡の高機能化および偏光分離光学系を導入した新たな二光子顕微鏡の構築を行った。前者としては、これまでに構築してきた二光子励起誘導放出制御 (STED) 顕微鏡システム (K. Otomo et al., Biomedical Optics Express, 9(6), 2671-2680 (2018)) におけるSTED光の強度不足を補うために、新たな高強度赤色パルス光源の導入を行なった。その結果、低い光毒性を維持しながら、更なる空間分解能の向上を達成した。本研究成果については現在、原著論文を投稿中である。後者としては、これまでに構築してきた多点走査型二光子励起顕微鏡について、空間分解能を上回る形態情報を高速で抽出する目的で、検出光学系に偏光分離光学系の導入を行なった。その結果、ビデオレートを上回る高速にて生体分子の配向を可視化できる顕微鏡システムの構築に成功した。本顕微鏡システムを用いることにより、色素標識対象分子の二光子励起蛍光のみならず、コラーゲン等の非標識生体分子の第二次高調波発生光についても実時間で異方性を解析できることを立証した。本成果については、原著論文をFrontiers in Physics誌に投稿し、受理された。さらに、長期間のイメージング測定を鑑み、光褪色性に優れる蛍光色素の選定に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画の段階で想定していた光学系とはやや異なるものの、目標としていた機能は十分に達成できる顕微鏡システムの構築に成功している。さらに2018年度においては、新たな着想に基いた新規偏光分解二光子顕微鏡の構築に成功したことから、当初の計画以上に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、2018年度に着手した蛍光色素選定を推し進め、長期的な生体イメージングに耐える試料についての条件検討を行う。さらに2018年度に構築した二つの顕微鏡システムの更なる最適化を行い、調製試料に適用することにより、顕微鏡システムの性能ならびに実用性の評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2,922 円の差額が生じたが、これは次年度の光学部品費に供する。
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