研究実績の概要 |
本研究課題の目的である生体内微細構造の長期的可視化を実現するために、本年度も継続して低毒性かつ高精細なイメージングを実現する顕微技術開発を行った。 まず、2018 年度より構築してきた二光子励起誘導放出制御 (STED) 顕微鏡システムについて、STED光の強度不足を補うために導入した新たな高強度赤色パルス光源による成果を原著論文として報告した (H. Ishii et al., Biomedical Optics Express, 10(7), 3104-3113 (2019))。二光子顕微鏡の低い光毒性を維持しながら、100 nm空間分解能での超解像イメージングが可能となったことから、長期イメージングへの適応性についての評価を開始している。 また、高速撮像による低毒性イメージング手法である多点走査型二光子励起顕微鏡法について、三色以上の多色イメージングが行える仕様とする改変を行った。具体的には、2 励起光パルス高速切換照射光学系の導入、線形スペクトル分離法による蛍光信号分離の実装を行った。これにより、哺乳類および植物培養細胞の細胞分裂時における複数細胞内小器官を低侵襲的に三次元追跡することに成功した。本成果については現在原著論文を執筆しており、近日投稿予定である。 さらに、関連要素技術として、新規二光子蛍光色素の評価、ナノ薄膜のイメージング応用を行い、それぞれについて原著論文を発表した (R. S. Avena et al., ACS Omega, 5(5) 2473-2479 (2020); H. Zhang et al., PLOS ONE 15(1) e0227650 (2020))。
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