水への溶解性が低い薬物の溶解性を改善する手法の確立は、医薬品開発において重要な課題である。本研究では、二成分以上の低分子化合物の組み合わせにより形成される非晶質状態である共非晶質に着目し、水への溶解性が低い薬物の溶解性改善ならびに非晶質状態の安定化を図った。難溶性薬物モデルであるプロブコールに対して、アトルバスタチンカルシウム三水和物を添加し、噴霧乾燥を行うことで、共非晶質の作製に成功し、薬物の溶解性改善と非晶質状態の安定化を図ることに成功した。さらに、数種の難溶性薬物モデルについて、三成分系非晶質製剤(固体分散体)を調製し、処方と薬物溶解性との関係に関する有用な知見を得た。
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