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2020 年度 実施状況報告書

潰瘍性大腸炎の寛解根治を目的とした経口投与型核酸医薬送達用ナノ粒子製剤の設計

研究課題

研究課題/領域番号 18K06611
研究機関愛知学院大学

研究代表者

山本 浩充  愛知学院大学, 薬学部, 教授 (30275094)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード潰瘍性大腸炎 / 高分子ナノ粒子 / 高分子ミセル / デコイ核酸
研究実績の概要

潰瘍性大腸炎とは、大腸粘膜に炎症が起こり、潰瘍ができる病気である。腸において炎症が起こるため、下痢や粘血便、発熱や体重減少などの症状があらわれ、患者の生活の質を著しく低下させてしまう疾患で、自己免疫異常がその要因の一つとされている。病状は、寛解期と活動期を繰り返し、長期にわたって、本疾患治療を行わなければならない。潰瘍性大腸炎の治療は、活動期に行われる寛解導入療法と寛解期に行われる寛解維持療法があり、異なった治療目的で実施されるのが特徴であるまた、従来の薬物治療法では、重篤な副作用の発現や症状の再発が問題となっている。このため、高い安全性と優れた治療効果を持つ画期的な医療薬の開発が求められている。本申請研究では、潰瘍性大腸炎の治癒に有効な「経口投与型ナノ粒子DDS製剤」の開発を目的としている。
本年度は、昨年度確立した培養細胞を用いたin vitro評価系を用い、デコイ核酸(DN)を封入したPLGAナノ粒子およびソルプラス高分子ミセルの抗炎症効果の評価を実施した。PLGAナノ粒子投与群では、LPS刺激に対して産生される炎症性サイトカインであるIL-1β、IL-6の産生量を投与量依存的に減少させる効果が認められた。これに対し、ナノ粒子に封入していないNakid DNでは、炎症性サイトカインの発現減少は認められなかったことから、高分子ナノ粒子に封入して投与することでDNを細胞内に送達でき、その効果が発揮されることが確認できた。一方、粒子径が高分子ナノ粒子よりも微細な高分子ミセル粒子の投与群では、炎症サイトカインの発現減少作用は確認できなかった。高分子ミセル粒子においてDNの効果が発揮されなかった理由として、高分子ミセルでは含有率が低く、DN投与量を一致させて投与したものの、基剤の量が非常に多くなったことが要因として考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

COVID19の影響で複数回実験の中断を余儀なくされ、準備していたin vitro培養細胞評価系を用いた利用のタイミングが合わなくなるなど、研究計画通りに進めることが困難であった。

今後の研究の推進方策

ソルプラスを用いた高分子ミセルでは、LPS刺激に伴う炎症性サイトカインの発現を抑制することができなかった。この要因として、高分子ミセルへのDNの含有率が低いことが推察された。今後DN含有率を増加させた高分子ミセルの調製を試み、抗炎症効果を評価する必要がある。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19によって実験の中止・再開が繰り返されたこと、講義のオンライン化に伴いエフォートの多くを教育活動に振り分ける必要が生じたことから計画通りに研究を遂行することができなかった。2021年度は、昨年度計画していた研究を適切に遂行し、年度前半を目処に助成金の執行をしていく計画である。

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公開日: 2021-12-27  

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