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2020 年度 実施状況報告書

セレノール(SeH)を活性素子とする膜結合型抗酸化酵素の合成と細胞レスキュー効果

研究課題

研究課題/領域番号 18K06617
研究機関崇城大学

研究代表者

原武 衛  崇城大学, 薬学部, 教授 (40325668)

研究分担者 中村 秀明  崇城大学, 薬学部, 講師 (30435151)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードセレノール / グルタチオンペルオキシダーぜ / セレン / 抗酸化酵素
研究実績の概要

令和1年度(平成31年度)は,本プロジェクトの中心として機能するGPx様活性の活性素子化合物1-oxo-hexadecyl-seleno-L-cysteine-methyl-Se-yl-S-L-penicillamine methyl ester (OHSeP)と,それを使ったOHSeP/ホスファチジルコリン(PC)混合リポソームなどの合成を行い,引き続いて令和2年度は,培養細胞を使った生物活性の評価を実施した。
Seleno-L-cystinを出発物質としてOHSePの合成およびOHSeP/PC混合リポソームの合成を行った。OHSePの合成手技・操作の確立には一定の目処を立てることができた。平成30年度に購入したリポソーム調製用のエクストルーダ装置を使って所望の形態・脂質組成を有するリポソームを調製するための手技・操作を確立した。リポソームの調製では,OHSePおよび飽和アシル鎖を有するPC(水素添加),コレステロール(Chol)を適宜混合し,クロロホルムに溶解させた。有機溶媒を緩徐に留去し脂質薄膜を形成させ,ソニケーションによりリポソームを形成させた。さらに,エクストルーダー装置を使ってリポソームの形や大きさを調整した。動的光散乱法により,得られたOHSeP/PCおよびOHSeP/PC/Chol混合リポソームの平均粒子径が約100 nmであることを検証した。また,表面電位の測定結果から,OHSeP分子がリポソームの外表面に配置されていることも検証された。また,OHSeP/PC混合リポソームに暴露させたがん細胞に対して,その抗酸化触媒作用に基づく殺細胞効果を示唆する結果が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成30度実施予定の実験項目には,本プロジェクトの中心として機能するグルタチオンペルオキシダーゼ様活性の活性素子化合物1-oxo-hexadecyl-seleno-Lcysteine-methyl-Se-yl-S-L-penicillamine methyl ester(OHSeP)とOHSeP/PC混合リポソームの調製を掲げていた。これらの実験項目については,OHSePの合成原料となる試薬類の入手が滞ったため当初は平成30年度に実施する予定であったがかなり遅れていた。そこで,令和1年度(平成31年度)は試薬類も入手することができたので,遅延した進捗状況の改善に努めた。まず,既発表の論文(ACS Omega, 1, 58-65, 2016およびMetallomics, 3, 702-709, 2011, Bioconjugate Chemistry, 19, 1831-1839, 2008)を参考にして,OHSePの合成を遂行することができた。続いて,OHSePおよび飽和アシル鎖を有するPC(水素添加),コレステロール(Chol)を使ったOHSeP/PCおよびOHSeP/PC/Chol混合リポソームの調製も実施することができた。さらに,培養がん細胞を使ったOHSeP/PC混合リポソームの生物活性の予備検討まで実施することができた。しかしながら,令和1年度に開始することを計画していた担がんマウスを用いたインビボでのOHSeP/PC混合リポソームの生物活性の評価に着手するまでには至らなかった。したがって,申請書に記載した当初の予定から遅れることになった。

今後の研究の推進方策

平成30年度に予定していたOHSePおよびそれに続くOHSeP/PC混合リポソームの合成が遅れたために,本研究プロジェクト全体の進捗も遅れ気味である。令和2年度は,本研究プロジェクトの最終年度であり,その遅れを取り戻し研究計画が完遂できるよう実験に着手した。しかしながら,OHSePなどの実験材料の合成と並行して,未実施のインビボ評価実験(申請書 研究計画・方法 実験項目3. S-180担がんマウスの作成および生体内セレン濃度推移の測定,がん組織内セレン分布の測定,抗がん作用の評価,GPx活性の測定,活性酸素の測定)などの実験を計画通り進めることはできなかった。令和3年度は,それらの実験から得られる結果に基づいて,抗がん作用と抗酸化活性あるいは活性酸素種の濃度の関連を総合的に考察し,最終目標であるOHSePによる細胞レスキュー効果に対する評価を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

生じた当該助成金(471,381円)は材料合成のための試薬や実験動物の購入などに充当する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Highly effective anti-tumor nanomedicines based on HPMA copolymer conjugates with pirarubicin prepared by controlled RAFT polymerization2020

    • 著者名/発表者名
      E. Randarova, H. Nakamura, R. Islam, M. Studenovsky, Mamoru Haratake, J. Fang, P. Chytil, T. Etrych
    • 雑誌名

      Acta Biomaterialia

      巻: 106 ページ: 256-266

    • DOI

      10.1016/j.actbio.2020.02.011

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Discovery of INCENP-derived small peptides for cancer imaging and treatment targeting survivin2020

    • 著者名/発表者名
      2.T. Fuchigami, N. Ishikawa, I. Nozaki, Y. Miyanari, S. Yoshida, M. Yamauchi, A. Soejima, M. Haratake, M. Nakayama
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: 111 ページ: 1357-1366

    • DOI

      10.1111/cas.14330

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 亜セレン酸還元代謝種と反応するラット脳由来タンパク質の同定2020

    • 著者名/発表者名
      吉田 さくら,山本 明典,増本 博司,堀 恵里子,浦 東子,淵上 剛志,原武 衛,中山 守雄
    • 学会等名
      衛生薬学・環境トキシコロジー
  • [学会発表] Investigation of selenium absorption from selenotrisulfide compounds in cultured cells2020

    • 著者名/発表者名
      Sakura YOSHIDA, Ryosuke MORI, Risako HAYASHI, Takeshi FUCHIGAMI, Mamoru HARATAKE, Morio NAKAYAMA
    • 学会等名
      金属の関与する生体関連反応シンポジウム
  • [学会発表] 血管透過性亢進ペプチドを用いた高分子性抗がん剤のがん組織集積増強法の検討2020

    • 著者名/発表者名
      Enoch APPIAH、Hideaki NAKAMURA, Robert POLA, Tomas ETRYCH, Mamoru HARATAKE
    • 学会等名
      日本DDS学会学術集会

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公開日: 2021-12-27  

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