研究課題
ナノコンポジットゲルはナノ構造体に高分子鎖を架橋し、ゲルネットワークを形成したものであり、従来型ゲルの問題点を克服した新しいゲル材料として近年、注目を集めている。本研究では、フラーレンなどのナノカーボン類を水溶性ナノ粒子化し、得られたナノ粒子に PEG鎖を架橋したカーボンナノコンポジットゲルを調製し、医薬への応用を企図した機能性を評価した。以下に得られた知見を要約する。1、フラーレンナノ粒子と各種尿毒症原因物質(トリプトファン、フェニルアラニン、インドール)の相互作用をNMRにより検討した結果、フラーレンナノ粒子濃度依存的にのこれら尿毒症原因物質のピークが著しくブロードニングし、ナノ粒子表面への吸着が示唆された。また、各ピークの半値幅を算出した結果、フラーレンナノ粒子は特にインドールと強く相互作用することが示唆された。2、フラーレンナノコンポジットゲルを各種尿毒症原因物質溶液に浸すとゲル内への吸収がみられた。フラーレンナノ粒子との相互作用の結果を反映し、インドールが最もゲル内へ吸収された。また、フラーレンナノコンポジットゲルは蛍光色素やタンパク質性薬物もゲル内へ封入可能なことから、薬物担体としての応用が示唆された。3、フラーレンナノコンポジットゲル存在下での細胞培養の結果より、フラーレンナノコンポジットゲルは細胞毒性を示さず、生体適合性に優れることが示唆された。本研究で調製したカーボンナノコンポジットゲルは従来のゲルにはない柔軟性・膨潤能・強度を有する新規薬物担体として医薬への応用が期待される。
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Carbohyd. Polym.
巻: 256 ページ: 117419
10.1016/j.carbpol.2020.117419
http://www.ph.sojo-u.ac.jp/~dio/index.html